小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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運営委員の実践

毎年夏の恒例 推薦図書集『西高の100冊』

生徒にはたくさん読書してほしい

湯原 定雄(岐阜 多治見西高等学校)

 私の勤務している多治見西高校・同附属中学校では、夏休みになる直前、『西高の100冊』という冊子を国語科・生徒図書委員が中心となり作成しています。そして全校生徒に配布します。第1号は2000年、今年で19年目。ゆっくりと時間のある夏休み読書してほしいという願いからはじまりました。

 教員は毎年この夏に生徒に読んでほしい本を1〜2冊紹介する文章を書きます。冊子では、表紙の画像も紹介されます。編集の先生方は、合計100冊以上になるよう原稿を募ります。編集委員の先生方は、締切までに原稿集めるのにほんとうに苦労されています。ただただ感謝のひと言です。
 私が書いた最近のお薦めの本です。
 

○2018年度

【「他者」がとても大切に思えるようになる本】

平野啓一郎『私とは何か──「個人」から「分人」へ』(講談社現代新書) 

「新書」を高校生にはぜひ読んでほしい。
「新書」とは、文庫本より少し背が高く、現代的なテーマを専門家が一般読者にむけて書き下ろした本。知識を断片ではなく、体系(ひとまとまりの関連づけられた知識)として理解するのにふさわしい。世界が大きく広がる。
 
 さて、国語総合の教科書に掲載されている「『本当の私』幻想」は、この本の30ページ〜38ページ。接する他者(相手)ごとに現れる自分=「分人」の集合体こそが「自分」だという考え方は、「自分とはどういう存在か」を考える大きなヒントになるだろう。「個性」「友人」「愛すること」も「分人」という視点から考察するとわかりやすい。若い君たちにこそ一読を勧めたい。



【自分にとって「本」は?と考えたくなる本】

角田光代『さがしもの』(新潮文庫)

 文化庁日本語に関する世論調査(H25年度)で、読書について驚きの結果が出た。1ヶ月に1冊も読まない人がほぼ半分!1〜2冊の人が35%。7冊以上は全体の約3%だったそうだ。
 君はどう? 読んでいる半分に入っているよね。若者よ、どんどん読もう!

 さて、この本も教科書掲載「旅する本」の出典だ。9編の短編小説からなる。
 すべて「本」にまつわる小説集だ。主人公はすべて(ほとんど)若い人。しみじみとした、そしてさわやかな読後感が残る。そして自分にとって本はどんな存在?と考えたくなる。


○2017年度

【ふっと心が軽くなるかもしれない本】

河合隼雄 『こころの処方箋』(新潮文庫)

 中学高校時代に「大人は迷うこともなく、悩むことも少ないだろう」と思っていた。大人は「それは○○だよ」とこともなげにいっている姿を見ていたからだ。ところがどっこい、自分が年を重ねても悩みはなくならない。自分の心が思うようにならずほんとに困ったものだ。

 二十年ぶりくらいに読み返してみた。「逃げるときはもの惜しみしない」「こころの中の勝負は51対49のことが多い」「やりたいことはまずやってみる」など、心に響く章がいくつもあった。
 一つの話が、4ページ。どこから読んでも構わない。著者のおだやかな語り口が心に響く。ふっと心が軽くなるかも。


【ふっとゴリラに会いたくなる本】

山極寿一『15歳の寺子屋  ゴリラは語る』(講談社)  

 著者は霊長類学者で京大総長。「ゴリラの生態を研究するために、彼らの棲むアフリカのジャングルにせっせと足を運んでき」た。筆者曰(いわ)く、「ぼくは、ゴリラの群れにホームステイするため、ゴリラ流あいさつとゴリラ語を学び、ゴリラ社会のルールを身につけてきました。」とのこと。
 そこで見つけたゴリラの世界は、人間以上に「共感」と「信頼」にあふれた世界だった。雨宿りで木のうろでいっしょになった六歳のゴリラ、タイタスは知らないうちに筆者に体を預けてスースー寝息を立てながら眠ったという。
 先入観を持たずに接することがゴリラのありのままの姿を知る大切な「視線」だった。未知の世界を知るヒントがそこにはある。
 中3の国語「作られた『物語』をこえて」はこの先生の文章です。


○2016年度

【失敗したって、挫折したって「大丈夫かも」、と思える本】

「人生で本当に大切なこと ……壁にぶつかっている君たちへ 」
      王貞治 岡田武史 (幻冬舎新書)

 王貞治さんは、通算本塁打の世界記録を持ち、巨人やソフトバンクで監督を務めた。また、第1回WBC日本代表監督として指揮を執り、優勝した。けれど、その王さん、実は高校受験に失敗。第二志望の高校が野球が強い早稲田実業。そこで才能が開花。でも、最後の夏は、投手の王さんが打たれて甲子園には行けなかった……。
岡田武史さんは、サッカーワールドカップ南アフリカ大会で日本代表監督を務め、ベスト16進出を果たした実績を持つ指導者。その岡田さんは、大学受験に失敗し、1年の浪人。その間サッカーはしていない。1年後合格した早稲田大学でも、最初は同好会に入るつもりだったらしい。就職も第一志望はサッカーとは無縁のマスコミで、なんと不採用だった……。

素晴らしい実績を持つお二人でも、順(じゆん)風(ぷう)満(まん)帆(ぱん)な人生ではなく、失敗と挫(ざ)折(せつ)を何度も味わっていた。失敗・挫折・壁──。どうしたら乗りこえられるのか。愛情と熱意を持って若いみなさんに語った対談集。皆さんの生き方のヒントが、そこにはあると思う。


○2015年度

【夢をかなえるための本】

白石豊「夢をかなえるコツ
   〝セルフ・ディレクション〟」(水王舎)

 自信を失い、目標も失いかけていた高峯桜が、セルフイメージを変えることで大学合格を勝ち取っていく物語。そして、ここぞという時プレッシャーに負けてばかりいたピッチャーだった速水球馬が心を整え最後の試合のマウンドに立つ──。2人の高校生を主人公に、物語で「夢を叶えるコツ」をつたえる本。読んだ君は、やろう!と思うはず。

 著者は福島大学教授でメンタルコーチ。数多くのプロ野球選手やオリンピック選手だけでなく、女子バスケットボールのオリンピック代表チームや、新体操のオリンピック代表チームのメンタルコーチをつとめられた。また、ぎふ清流国体の時、岐阜県選手団のメンタルアドバイザーでもあった。
 11月5日(木)に、先生は、本校で講演される。楽しみだ。


【出会えてよかったと思えた本】

ユゴー作「レ・ミゼラブル」
   (岩波少年文庫では「ジャンバルジャン物語」)

 中学生の時、読書が好きになった。わずかの小遣いの中から、文庫本を買った。本棚に読み終えた本が増えていくのが、まるで自分の世界がひろがっていくようで誇らしくうれしかったことを思い出す。

 この本は旺文社文庫の一冊。小学生の時「ああ無情」という題で読んでいたが、これは大人向けの厚い文庫本。ジャンバルジャンとコゼットの運命をはらはらしながら読みふけった。読み終えてしまうのが、うれしいような残念なような気分だったことを思い出す。夏休みが終わったとき、友だちに誇らしげに読み終えたことを告げたことも記憶にある。 読書の喜びを体験させてくれた大切な本だ。残念ながら旺文社文庫は現在絶版。


毎年夏の恒例 推薦図書集『西高の100冊』

 私の勤務している多治見西高校・同附属中学校では、夏休みになる直前、『西高の100冊』という冊子を国語科・生徒図書委員が中心となり作成しています。そして全校生徒に配布します。第1号は2000年、今年で19年目。ゆっくりと時間のある夏休み読書してほしいという願いからはじまりました。

 教員は毎年この夏に生徒に読んでほしい本を1〜2冊紹介する文章を書きます。冊子では、表紙の画像も紹介されます。編集の先生方は、合計100冊以上になるよう原稿を募ります。編集委員の先生方は、締切までに原稿集めるのにほんとうに苦労

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