小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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【読み研通信掲載実践】読み研方式と大学受験(1回〜4回)

町田雅弘

【1】
 私の個人的な見解にはなってしまうが、読み研方式の授業は、現在(特に高校で)一般的に行われている「教師による解説型授業」・「教師による発問型授業」に対する批判から生まれたと考えている。従来のこういったスタイルの授業は教師がいないと成立せず、よっていつまでたっても教師の指示待ちの生徒を育ててしまう。その点、読み研方式は「読みの方法」を教えることによって児童・生徒が主体となって文章を読み取ることが可能なのである。
 ……ならば、この読み研が提示する方法は、入試問題を解く時にも有効に働くはずである!私は現在高校三年生の問題演習の授業を担当しているが、実際小説の問題はほとんどが形象よみの問題であると言ってよい。大学受験を突破するための授業はどうあるべきか。また、読み研方式にどのような学習をプラスしていけばよいのか考えていきたい。
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まずは小説の問題から見ていこう。平成二十一年から平成三十年のセンターの小説問題を分析してみた。語句に関する設問数は10問。人物心情に関する設問数は37問。表現に関する設問数は11問。構成に関する設問数は1問であった。
全設問数は合計54問なので、一番多い人物心情に関わる問題は、なんと全体の7割近くを占めることになる。設問のたずね方も様々ある。例えば「(傍線部時の)○○の心情はどのようなものか」という直接的なたずね方もあれば、「○○が母のそばを離れたのは何故か」という人物の行動に関わらせて心情をたずねるものもある。
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 平成三十三年から大学試験は入試が変わると言われている。新傾向の問題もプラスされるとは思われるが、小説の問題に関しては「Ⅱ形象よみ・c山場の部・人物の新しい性格」が多く出題されることに変わりはないと思われる。
ならば、普段の授業においても、「Ⅱ形象よみ・c山場の部・人物の新しい性格」の読み取りについては詳細に取り組むべきであろう。心情について考える場合、「楽しい」や「切ない」といった気持ちがその言葉で文章内にあらわれることは、まずない。大概が登場人物の行動にその心情があらわれる。登場人物の行動の根拠を一つ一つ確かめながら、心情の移り変わりや、登場人物同士の関係性について探っていきたい。
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 特に技法に注目させる「表現」についての問題や、難語句の意味についての問題も毎年出る。別個学習も必要だ。

【2】
 前回は、過去十年間の大学入試センター試験問題(小説)全54問を分析した。すると、一番多い分野は「人物の新しい性格」に関わる問題であり、なんと全体の7割近くを占めることが分かった。特に多いのは、主人物の行動に傍線を引き、最も適切な心情は何かと問う問題である。よって普段の授業においても、「Ⅱ形象よみ・c山場の部・人物の新しい性格」の読み取りについては詳細に取り組むべきであろうと述べた。
 今回は、まず私が教えている入試問題(小説)を解く手順について述べる。また受験を突破するため必要な力は何か考えてみたい。
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1.題名・リード文を読む。
 作品を読み取る前に、ストーリーを予測しておくと、読みやすくなる。特にタイトルは作者の思い入れも強く、テーマに関わる場合が多い。(特にタイトルが地名になる場合は、その土地がテーマに関わる場合も多い。)また、導入部はカットされリード文で必要な情報を伝える場合が多いので、時・場・人物・事件設定をあらかた抑えておくことが必要だ。

2.設問に目を通す。
 設問には「A人物の心情」を問うているものが多いことは先に述べた。後の3割は(毎年出題される語句問題を除くと)「B事件」「C表現・構成」に分類される。設問に目を通してどれにあたるか分析して、傍線部にA・B・Cを記入しておく。特にAについては、誰の心情について問うているか設問の箇所にメモしておく。この後作品を読むときに、誰の心情に注目しながら読めば良いかを知っておく。

3、作品を読む。
 まず一人称小説なのか三人称小説なのかを確認する。設問Cを解く時に有効となる。次に作品を読み進める。傍線部分に近づいた際に「A人物の心情」を問う問題であった場合、誰について問うているかを確認した上で、その人物の「人物の新しい性格」の線引きをしておく。(傍線部分付近を中心に。)この初読の段階で線引きをしておくことが重要である。
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この後、作品を最後まで読み切ってから設問を解いていくわけだが、線引きをせず作品文章を無印のままにしておくとこの傍線部分辺りをもう一度読み返す必要が出てくる。明らかな時間のロスになるし、何より最初から通して読んだ時の記憶が曖昧になっている。その結果、一見確からしい選択肢に騙されてしまうリスクがあるのだ。
ならば……とそういった事態を恐れて、作品を読みながらその傍線部分にさしかかる度に問題を解く生徒もいるが、最後まで読み終えずに問題を解きはじめるこの方法もリスクが大きい。
今述べてきた前者二者の方法は、どちらにしてもリスクが生じる。私が推奨する新たな方法は、先に設問の分析をしておいて、その設問に適した「線引き」を先にしておくという方法だ。今しがた読んだばかりの文章を読み直す必要もなく、記憶が曖昧になる前に「重要なヒント」となる箇所に印をつけることができる。「線引き箇所」を参考にしながら、ゆっくりと選択肢の吟味をすることができる。
つまり小説問題で得点力をつけるためには、まず「線引き」ができる力を身に着けることが重要なのである。形象よみの授業が威力を発揮する。

【3】 
 平成二十年から平成二十九年のセンターの論説文(評論)問題を分析してみた。するとある特徴的なことが見えてきた。第一問目にある漢字の問題を除いて、問題は主に三種類に大別することができるのだ。
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A言い換え問題
 「傍線部に……とあるが、それはどういうことか。その説明として最も適切なものを次の選択肢の中から選びなさい」「傍線部に……とあるが、それはどういうことをたとえているか。最も適当なものを表している内容を次の選択肢の中から選びなさい」といったように、本文中の一部分を指示し、それと同じ選択肢を選ばせる問題だ。その傍線部分と同じ内容は、文章中にほぼ必ずといってよいほど述べられており、つまり文章内で「言い換えて」いる箇所を見つけ出して選択肢を選べば良いのだ。

B理由問題
 「傍線部に……とあるが、それはなぜか。その説明として最も適切なものを、次の選択肢の中から選びなさい」「傍線部……とあるが、筆者はどのような考えからそのように判断しているのか。その説明として最も適切なものを、次の選択肢の中からえらびなさい」といったように、本文中の一部分指示し、その理由を述べている選択肢を選ばせる問題だ。こちらも、傍線部分の理由は、文章中にほぼ必ずといってよいほど述べられており、つまり文章内で「理由」を述べている箇所を見つけ出して選択肢を選べば良いのだ。

C構成・表現問題
 「本文の内容や展開の説明として最も適切なものを、次の選択肢の中から選びなさい」といった構成の問題や、「この文章の特徴に関する説明として適当なものを、次の選択肢の中から選びなさい」といった表現の問題だ。
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 全設問数(漢字を除く)は合計で50問。そのうちA言い換え問題は29問。B理由問題は12問。C構成・表現問題は9門。一番多い「言い換え問題」は、なんと全体の6割近くを占めることになる。「理由問題」も全体の2割5分近くを占めている。
 ならば、「論理読み」の授業の際に、「詳しく説明」の関係・「理由」または「前提・結論」の関係について、丁寧におさえておく必要がありそうだ。
 問題が主に三種類に大別できることがわかれば、いろいろと工夫もできる。問題を解くスピードを上げながら、正答率を上げる方法がある。その方法は次回説明する。

【4】 
 前回は、過去十年間の大学入試センター試験問題(評論、ただし漢字を除く)全50問を分析した。一番多いタイプの問題は「言いかえ問題」であり、全体の6割を占めることが分かった。続いて多いのは「理由をたずねる問題」であり、全体の2割5分を占める。残りは「構成・表現について問う問題」である。
 今回は、私が教えている入試問題(評論)を解く手順について述べる。特に文章を読み始める前の「準備」について考える。
時間を気にするあまり、すぐに本文を読み始めたい生徒も多いだろうが、その前にいくつかの準備をしておくと、文章がいくらか読みやすくなる。
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1.段落番号をふる。
最初は本文に形式段落番号をふることから始める。
文章は一見「一つの大きな塊」として存在するように見える。でも実際には内容により「いくつかの小さな塊」に分けられる。段落番号をふるだけで、不思議とその点が意識されてくるのだ。
また段落を意識することにより、今読んでいるこの話題が文章中の一体どのあたりまで続いていくのか視覚化することができる。
後に、文章を読む際に、話題が変わったと思える段落が、もしあれば段落番号に印をつけておく。このひと手間をかけることで「構成」問題を考える際の時間節約につながる。

2.タイトルに着目する。
 タイトルは本文の最後に表記されている。よって、意外と意識しない生徒は多いはずだ。評論の場合はタイトルが本文の内容をそのまま示しているので、これから読む内容について、あらかじめ知ることができる。タイトルに注目せずに文章を読み始めるのは、非常にもったいないことである。
例えば、いくつかの例を示しながら遠回りをして、最終的に筆者の述べたい方向に論理を展開するタイプの文章もある。読む前にタイトルから内容を類推しておけば、途中でどのような例がフリとして登場しても、筆者の持っていきたい方向性を想像しながら読み進めることができる。

3.「設問」にざっと目を通す。
 前回の連載でも述べたように、設問のパターンはほぼ三種類に大別することができる。本文の傍線部分に対して、
① 言いかえをする問題 
② 理由をたずねる問題 
③ 表現・構成を問う問題 
……の三つである。
 文章を読み始める前に、設問を三つに分類をしておく。(選択肢まで目を通す必要はない。)そして本文中にある傍線部分に、例えば「①②③」などと印をつけておく。
……この後、本文を読み進める時、その印を見つけることで、この近辺から、傍線部分の「言い換えをしている部分」や「理由を示している部分」を見つることができる。そしてそこに線を引いておく。
あとは本文を読み終えて、設問を解く時にこの線引きをしたところを参考に問題を解けばよい。よくありがちな解き方だが「そのあたりの文章」に「なんとなく」もう一度戻り、改めて本文を読み直すという必要がなくなる。時間の大幅な節約になるし、正答率も上がる。

【読み研通信掲載実践】読み研方式と大学受験(1回〜4回)

【1】
 私の個人的な見解にはなってしまうが、読み研方式の授業は、現在(特に高校で)一般的に行われている「教師による解説型授業」・「教師による発問型授業」に対する批判から生まれたと考えている。従来のこういったスタイルの授業は教師がいないと成立せず、よっていつまでたっても教師の指示待ちの生徒を育ててしまう。その点、読み研方式は「読みの方法」を教えることによって児童・生徒が主体となって文章を読み取ることが可能なのである。
 ……ならば、この読み研が提示する方法は、入試問題を解く時に

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