小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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国語授業の改革

国語授業の改革9

新学習指導要領をみすえた新しい国語授業の提案 「言語活動」「言語能力」をどうとらえるか

はじめに

 学習指導要領が改訂されました。「国語」では、「構成」「展開」が重視され、「登場人物」等の記述が詳細になりました。「比喩・反復などの表現」も明示されました。全体として「言語」としての国語という方向が前面に出てきています。また、「評価」「批評」「自分の考えを明確にしながら読」むなど、吟味・評価の要素が明記されました。これらの中には、読み研が継続的に提案していた要素と重なるものもあります。  
 しかし、「登場人物」等の記述がより丁寧になったものの、それらの系統性には大きな課題があります。また、「言語活動」例が明示されたことで、活動主義的な指導が生み出される危険もあります。さらに、現行の「言語事項」を「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」に変更し、そこに「神話」等を位置づけるなど復古的な要素も出てきています。  
 私たちは、その新学習指導要領を詳細に分析・検討しつつ、新しい国語授業のあり方を追究していこうと考えています。そこで、『国語授業の改革9』では、「新学習指導要領をみすえた新しい国語授業の提案―「言語活動」「言語能力」をどうとらえるか」をテーマとしました。  
 第1章では、はじめに高木まさき先生と阿部昇の新学習指導要領「国語」についての論考を位置づけました。その上で、新指導要領「国語」のキーワードを検討しつつ、それにかかわる新しい国語授業の提案を行いました。第?章では、新指導要領「国語」の「言語活動」例に含まれるキーワードを取り上げ、授業シミュレーションを立ててみました。第?章では、物語の授業でどういう国語の力を付けることができるのかを検討しました。第?章では、気鋭の研究者の方々に、新指導要領について論じていただきました。  
『国語の授業改革』には、その名のとおりこれまでの国語の授業を改革するための糸口がたくさんあります。多くの先生方、研究者の方々に読んでいただき、ご意見・ご批判をいただきたいと思います。

   2009年8月

                          科学的『読み』の授業研究会代表
                          阿部 昇(秋田大学)

〈目  次〉

(1) 新学習指導要領をみすえた新しい国語授業の提案――「言語活動」「言語能力」をどうとらえるか

〈問題提起〉

1 新学習指導要領「国語」をどう読み解くか―― 「言語」「言語活動」「登場人物」
  「構成や展開」「比喩や反復などの技法」「評価」  阿部  昇  

2 新学習指導要領「国語」が提起しようとしたもの  高木まさき  

〈物語と小説の新しい授業提案〉

3 小学校―物語「構成」と「表現の工夫」を重視した新しい授業提案
  ――「スイミー」(レオ・レオニ)  臺野 芳孝  

4 小学校―物語「登場人物」を重視した新しい授業提案
  ――「お手紙」(A・ローベル)  鈴野 高志  

5  小学校―古典「表現」を重視した新しい授業提案
  ――「竹取物語」冒頭  加藤 郁夫  

6 中学校―小説「批評」を重視した新しい授業提案
  ――「走れメロス」(太宰治)  丸山 義昭  

〈説明文とNIEの新しい授業提案〉

7 小学校―説明文「構成」を重視した新しい授業提案
  ――「花を見つける手がかり」(吉原順平)  加藤 辰雄  

8 小学校―説明文「段落相互の関係」と「大事な文」を重視した新しい授業提案
  ――「すがたをかえる大豆」(国分牧衛)  鳥谷 幸代  

9 中学校・高校―論説文「評価」を重視した新しい授業提案
  ――「モアイは語る――地球の未来」(安田喜憲)  岩崎 成寿  

10 小学校・中学校―NIE「編集の仕方」「記事の書き方」を重視した新しい授業提案
  ――「較べ読み」で書き手の意図と読み手の役割を学ぶ  高橋喜代治  

(2) 新学習指導要領「言語活動」の充実の授業シミュレーション

1 「物語を演じる」授業で文学のおもしろさを味わわせる
  ――「大きなかぶ」(ロシアのお話・うちだりさこ訳)  本山 智子  

2 「読書習慣を形成する」授業――読書指導と読解指導の連係をめざす  町田 雅弘  

3 「俳句づくり」で「言葉の力」を磨く  熊谷  尚  

4 「図鑑や事典」を活用する授業  杉山 明信  

5 新聞やインターネットを活用する授業
  ――「中退・不登校 2割がニートに」のニュース(09・5・16NHK)  小倉 泰子  

6 「論説や報道の比較」の授業にメディア・リテラシーの取り組みを  薄井 道正  

7 表現活動やその後の読解に活かす「慣用句」「四字熟語」の授業
  ――ゲーム的要素を取り入れながら  建石 哲男

8 クイズやゲームで漢字の不思議を発見!  柳田 良雄

9 「昔の人のものの見方・感じ方を知る」古典の授業 
  ―― 徒然草「奥山に猫またといふもの」を現代文のセオリーで読む  湯原 定男  



(3) 小学校・物語「大造じいさんとガン」(椋鳩十)の1時間の全授業記録とその徹底分析

1 「大造じいさんとガン」のクライマックスを読む授業・1時間の全授業記録  加藤 郁夫  

2 授業へのコメント――その1                  
  ――的確で先を見通した指示がスキのない授業を創っている  高橋喜代治  

3 授業へのコメント――その2
  ――教材研究の弱さが授業の限界を作りだした  阿部  昇  

4 授業者自身のコメント  ――授業で大切にしたいこと  永橋 和行



(4) 国語科教育の改革――新学習指導要領に関する提言

1 言語活動で拓く国語学習――言葉の学びの可視化プロジェクト  田近 洵一  

2 国際化とナショナリズムとの狭間で  府川源一郎  

3 知識・技能の「習得」と「活用」を促すために  鶴田 清司  

4 「話すこと・聞くこと」と「読むこと」との相互関係の大切さ 
  ――新学習指導要領とこれからの読解指導・読みの授業を考える  中村 哲也  

5 グローバル化時代を豊かに生きるための「ことばの教育」を  村上 呂里  

6 全国学力学習状況調査・秋田県の結果に関する考察
  ――平成一九年度・二○年度の要因分析  阿部  昇  



(5) 新学習指導要領を考えるための読書案内――私が勧めるこの一冊

1 『新小学校学習指導要領改訂のポイント』(柴田義松 監修)  柴田 義松  

2 『語り合う文学教育第六号』(語り合う文学教育の会 編)  藤原 和好  

3 『国語科授業再生のための5つのポイント』(堀江祐爾 著)  足立 悦男  

4 『新学習指導要領に沿ったPISA型読解力が必ず育つ10の鉄則』(有元秀文 著)
                                         木内  剛  

5 『こんな日本でよかったね―構造主義的日本論』(内田 樹 著)  須貝 千里  

6 『中学校・高等学校PISA型「読解力」―考え方と実践―』(田中孝 一 監修 西辻正副・冨山哲也 編)  田中 洋一

7 『語りに学ぶコミュニケーション教育』(上・下巻)(寺井正憲 編著)  甲斐雄一郎  

8 『思考力育成への方略│メタ言語・自己学習・言語論理│〈増補新版〉』(井上尚美 著)
                                              小田 迪夫  

9 『授業づくりのための「説明的文章教材」の徹底批判』(阿部 昇 著)  内藤 賢司  

10 『二〇〇八年版 学習指導要領を読む視点』(竹内常一 他 共著)  竹田 博雄  

国語授業の改革9

はじめに

 学習指導要領が改訂されました。「国語」では、「構成」「展開」が重視され、「登場人物」等の記述が詳細になりました。「比喩・反復などの表現」も明示されました。全体として「言語」としての国語という方向が前面に出てきています。また、「評価」「批評」「自分の考えを明確にしながら読」むなど、吟味・評価の要素が明記されました。これらの中には、読み研が継続的に提案していた要素と重なるものもあります。  
 しかし、「登場人物」等の記述がより丁寧になったものの、それらの系統性には大きな課題があり

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