小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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国語授業の改革

国語授業の改革8

PISA型「読解力」を超える国語授業の新展開 新学習指導要領を見通した実践提案

 OECDの学習到達度調査(PISA)が日本の教育界にいろいろな波紋を投げかけています。特に二○○三年に日本の「読解力」の順位が大きく下がったことは、大きな話題となってきました。それが全国学力・学習状況調査に反映され、新学習指導要領にも影響を与えています。
PISAの結果は、これまでの日本の国語科教育の弱点を、顕在化させてくれたという側面があると考えます。文章を構成的・構造的に把握する力、書かれ方の工夫・仕掛けを見つけ出す力、推理・推論する力、文章を吟味・評価する力などに弱点があったことが見えてきました。「読むこと」と「書くこと」の関連という点でも弱点がありました。しかし、だからと言ってPISA型「読解力」を絶対化することも危険です。そこには限界・弱点もあります。たとえば、吟味・評価・批判に関しては、まだ不徹底な面が多いと言えます。
 以上のような認識から、『国語授業の改革』の第8号は「PISA型『読解力』を超える国語授業の新展開―新学習指導要領を見通した実践提案―」を特集します。
 第?章では、PISA型「読解力」に応えつつ、それを超えるための授業づくり構想と実証授業を提示しました。二つの問題提起に続き、六人の実践家が、授業のねらい・教材研究・授業構想を示した上で自分自身の実践の記録を提示しました。いずれも挑戦的な実践です。第?章では、PISA型「読解力」に応えつつ、それを超えるために有効と考えられる教材を紹介しました。その教材でどういう力をつけようとするのか、教材の詳細な分析・検討、授業展開のイメージなどを具体的に示しました。第?章では、気鋭の研究者の方々にPISA型「読解力」に関する提言を様々な角度からしていただきました。
 『国語授業の改革8』には、その名のとおりこれまでの国語の授業を改革するための糸口がたくさんあります。多くの先生方、研究者の方々に読んでいただき、ご意見・ご批判をいただきたいと思います。

                                  2008年8月
                                  読み研代表
                                  阿部 昇(秋田大学)


【1】 PISA型「読解力」を超える国語の新しい授業づくり
     ―授業構想と授業記録

1 日本の国語科教育はPISA「読解力」をどのように受けとめるべきか
  ―PISA「読解力」の先進性と限界(阿部昇)
2 PISA型「読解力」と国語科教育の課題
  ―〈比べ読み〉による批評の可能性(鶴田清司)

 〈説明的文章の新しい授業づくり〉
3 小学校―説明的文章「吟味」「評価」し「書くこと」につなげる授業
  ―「動物の体」(増井光子)を使った授業構想と授業記録(臺野芳孝)
4 中学校―説明的文章「吟味」「評価」し「書くこと」につなげる授業
  ―「シンデレラの時計」(角山栄)を使った授業構想と授業記録(鈴野高志)
 
 〈物語・小説の新しい授業づくり〉
5 小学校・物語・小説「構造」「レトリック」の仕掛けを読み解く授業
 ―「大造じいさんとガン」(椋鳩十)を使った授業構想と授業記録(永橋和行)
6 中学校―物語・小説「吟味」「批評」し「書くこと」につなげる授業
  ―「形」(菊池寛)を使った授業構想と授業記録(町田雅弘)

 〈メディア・NIEの新しい授業づくり〉
7 小学校―メディア・NIE「事実」と「意見」の関係を読み解く授業
  ―新聞記事「赤ちゃんポスト」を使った授業構想と授業記録(加藤郁夫)
8 中学校・高校―メディア・NIE「吟味」「批判」し「書くこと」につなげる授業
  ―新聞記事「ママが挑む大舞台」を使った授業構想と授業記録(岩崎成寿)

  
【2】 PISA型「読解力」を超えるための新しい教材開発
 
1 この教材を使えば中学校―説明的文章の「論理」「吟味」指導は大丈夫
  ―「平和を築く」(荒巻裕)の論理の解釈と吟味(加納一志)
2 この教材を使えば小学校―説明的文章の「吟味」「評価」指導は大丈夫
  ―「森を育てる炭作り」(岸本貞吉)を吟味し評価する(高橋喜代治)
3 この教材を使えば中学校―説明的文章の「吟味」「評価」指導は大丈夫
  ―「動物の睡眠と暮らし」(加藤由子)の文章吟味(杉山明信)
4 この教材を使えば小学校―物語・小説の「構造」「レトリック」指導は大丈夫
  ―「ごんぎつね」の構造とレトリック(小林信次)
5 この教材を使えば中学校―物語・小説の「吟味」「批評」指導は大丈夫
  ―「小さな手袋」(内海隆一郎)を批評する(丸山義昭)
6 この教材を使えば小学校―メディア・NIEの「事実」と「意見」の指導は大丈夫
  ―新聞の投書で「事実」と「意見」の見分け方を学ばせる(佐藤建男)
7 この教材を使えば中学校―メディア・NIEの「吟味」「批判」指導は大丈夫
  ―新聞「eメール批評」を使った「反論」指導(薄井道正)

  
【3】 国語科教育の改革―PISA型「読解力」に関する提言

1 新学習指導要領の問題点(柴田義松)
2 国語科「読解力」の定位と育成のための具体策(大内善一)
3 PISA型「読解力」の本質(福田誠治)
4 「おかしな文章」問題と「言語論的転回」の再転回
  ―「PISA型読解力を超える」に応えて(須貝千里)
5 なぜ、日本は、PISA型読解力の得点が向上しないか?
  ―「PISA型読解力」から「国際的な読解力」へ(有元秀文)
6 テキストの表現構造・方法を「熟考・評価」するための授業(藤原 顕)

  
【4】 PISA型「読解力」を考えるための読書案内―私が勧めるこの一冊
 
1 『機能的読解指導』(飛田多喜雄 著)(安藤修平)
2 『会議が変わる6つの帽子』
  (エドワード・デ・ボーノEdward de Bono 著/川本英明 訳)(藤森裕治)
3 『反論の技術・実践資料編―学年別課題文と反論例』
  (香西秀信編 高明会系香西流レトリック道場 著)(上谷順三郎)
4 『説明的文章指導の再検討―到達目標・到達度評価の立場から』
  (水川隆夫 著)(間瀬茂夫)
5 『世界の言語テスト』(国立国語研究所 編)
6 『日本教材学会設立20周年記念論文集「教材学」現状と展望』
  (日本教材学会 編)(喜岡淳治)
7 『読解指導―読みの基礎能力』(倉澤栄吉 著)(青山由紀)
8 『文章吟味力を鍛える―教科書・メディア・総合の吟味』(阿部昇 著)
  (熊添由紀子)
9 『クリティカル・シンキングと教育―日本の教育を再構築する』
  (鈴木健・大井恭子・竹前文夫 編)(松井健)
10 『打たれ強くなるための読書術』(東郷雄二 著)(湯原定男)

国語授業の改革8

 OECDの学習到達度調査(PISA)が日本の教育界にいろいろな波紋を投げかけています。特に二○○三年に日本の「読解力」の順位が大きく下がったことは、大きな話題となってきました。それが全国学力・学習状況調査に反映され、新学習指導要領にも影響を与えています。
PISAの結果は、これまでの日本の国語科教育の弱点を、顕在化させてくれたという側面があると考えます。文章を構成的・構造的に把握する力、書かれ方の工夫・仕掛けを見つけ出す力、推理・推論する力、文章を吟味・評価する力などに弱点があったことが見えてきました。「読むこと」と

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