小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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国語授業の改革

国語授業の改革7

教材研究を国語の授業づくりにどう生かすか

 中央教育審議会はじめ様々な場で「読解力」向上が叫ばれ「読むこと」の指導が見直されようとしています。また、「確かな学力」の育成、到達目標的な教科指導のあり方も強調されつつあります。
 そういう中で、私たち科学的「読み」の授業研究会が果たすべき役割は少なくないと考えます。もちろん中央教育審議会や文部科学省の方向に無批判に追随するという意味ではありません。こういう情勢の中で、読み研が「読解力」「読むこと」指導などについて問題提起していくことの意味が、より大きくなってきているということです。
 確かな学力を保障する国語の授業を展開するためには、様々な要素を有機的に関わらせることが必要です。どういう力を身につけさせるかという教科内容の系統的把握、どのような手順で単元を構成していくかという指導過程の検討、どのように発問・助言・評価を行い学習集団を指導するかという授業づくりの手立て、そして一見しただけではわからない構造・論理・形象の仕掛け、共示的意味、論理的整合性等を見抜く教材研究の深さ豊かさです。
 『国語授業の改革7』は、その中でも特に「教材研究」に着目しつつ、国語の授業づくりをどう進めていったらいいかを追究しました。第?章では「スイミー」「おにたのぼうし」「ごんぎつね」「少年の日の思い出」「じどう車くらべ」「モアイは語る」等の現行の代表的教科書教材を取り上げ、まずそれを丁寧に分析・検討しました。その上で身につけさせるべき教科内容、授業構想、発問・助言などを具体的に示しました。また、豊田ひさき先生に「教材解釈と国語の授業づくり」について論じていただきました。第?章では、教材研究の方法と技術を課題ごとに提示しました。第?章では、PISA型「読解力」に対応した説明的文章の吟味の授業を取り上げました。第?章では気鋭の研究者の皆さんに問題提起性の高い論文を寄せていただきました。
 『国語授業の改革7』には、その名のとおりこれまでの国語の授業を改革するための糸口がたくさんあります。多くの先生方、研究者の方々に読んでいただき、ご意見・ご批判をいただきたいと思います。

                             2007年8月
                             読み研代表 阿部昇(秋田大学)

目  次

(1) 教材研究を国語の授業づくりにどう生かすか
1 構造的な分析が教材研究を深く豊かにする
  ──物語・小説の教材研究方法序説(阿部 昇)
2 教材解釈と国語の授業づくり(豊田ひさき)
3 「かさこじぞう」(いわさききょうこ)の教材研究と授業づくり
  ──「人物の性格」と「表現」を読む方法を身につけさせる(臺野 芳孝)
4 「スイミー」(レオ・レオニ)の教材研究と授業づくり
  ──「比喩」と「倒置」に目をつけ「事件展開」を読む方法を身につけさせる(加藤 辰雄)
5 「おにたのぼうし」(あまんきみこ)の教材研究と授業づくり
  ──「鍵となる部分」を発見する方法を身につけさせる(阿部 昇)
6 「ごんぎつね」(新美南吉)の教材研究と授業づくり
  ──「クライマックス」と「事件の発展」を読む方法を身につけさせる(永橋 和行)
7 「一つの花」(今西祐行)の教材研究と授業づくり
  ──「クライマックス」と「主題」を読む方法を身につけさせる(加藤 郁夫)
8 「少年の日の思い出」(ヘルマン・ヘッセ)の教材研究と授業づくり
  ──再読によって「語り」を読む方法を身につけさせる(宮城 洋之)
9 「故郷」(魯迅)の教材研究と授業づくり
  ──終結部で「主題」を読む方法を身につけさせる(杉山 明信)
10 「羅生門」(芥川龍之介)の教材研究と授業づくり
  ──「事件の発展」と「主題」を読む方法を身につけさせる(丸山 義昭)
11 「じどう車くらべ」の教材研究と授業づくり
  ──「構成」と「論理」を読む方法を身につけさせる(志田 裕子)
12 「花をみつける手がかり」(吉原順平)の教材研究と授業づくり
  ──「消去法」を吟味する方法を身につけさせる(高橋喜代治)
13 「モアイは語る――地球の未来」(安田喜憲)の教材研究と授業づくり
  ──「構造」と「論理」を読む方法を身につけさせる(岩崎 成寿)

(2) 教材研究の方法と技術
1 物語・小説の教材研究の方法と技術1──作品の「構造」に着目する
  ──クライマックスに目をつけると作品の仕掛けが浮き上がってくる(五十嵐 淳)
2 物語・小説の教材研究の方法と技術2──作品の「事件」「人物」に着目する 
  ──人物相互の関係の変化に目をつけると作品の急所が見えてくる(小倉 泰子)
3 物語・小説の教材研究の方法と技術3──作品の「仕掛け」「レトリック」に着目する
  ──「ふつうと違った表現」と「情景描写」の秘密(薄井 道正)
4 説明的文章の教材研究の方法と技術1──文章の「構造」に着目する
  ──鳥の目で俯瞰することで文章の仕組みが見えてくる(町田 雅弘)
5 説明的文章の教材研究の方法と技術2──文章の「論理」に着目する
  ──「柱」に目をつけるとメッセージが前面に出てくる(小林 義明)
6 説明的文章の教材研究の方法と技術3―文章を「吟味」する
  ──「吟味の方法」を身につけると文章を読むことがスリリングになる(鈴野 高志)

(3) 小学校・説明的文章「魚の感覚」(末広恭雄)の1時間の全授業記録とその徹底分析
1 「魚の感覚」(末広恭雄)の吟味よみの授業・1時間の全授業記録(加藤 郁夫)
2 授業へのコメント──その一
  ──PISA型「読解力」を超える吟味・批判指導の可能性を実証した授業(阿部 昇)
3 授業へのコメント──その二
  ──適切な評価が、やる気を引き出している(高橋喜代治)
4 授業者自身のコメント
  ──「吟味よみ」への挑戦(熊谷 尚)

(4) 国語科教育の改革――教材研究と授業づくりについての提言
1 ことばの意味とその教育について(柴田 義松)
2 教員が教えたいことと学習者の興味関心の違いをどうするのか(渋谷 孝)
3 詩における教材研究の方法論──空白を読む(足立 悦男)
4 メディア・リテラシーにおける教材研究の力(松山 雅子)
5 教材研究のひらめきと活性化(松崎 正治)
6 「おもしろさ」と「意味」のあいだで
  ──作品を読むことと教材研究の距離(宮川 健郎)

(5) 国語の「教材研究」を考えるための読書案内─―私が勧めるこの一冊
1 山路兵一 著『読書創造 読方学習の仕方 上・下』(浜本 純逸)
2 田中実 著『読みのアナーキーを超えて』(田近 洵一)
3 渡辺雅子 著『納得の構造〜日米初等教育に見る思考表現のスタイル〜』(望月 善次)
4 中村哲也 著『「出口」論争「冬景色」論争を再考する』(鶴田 清司)
5 小田島雄志 著『シェイクスピアの人間学』(久田 敏彦)
6 柴田義松・阿部昇・鶴田清司編 著『あたらしい国語科指導法(改訂版)』(平野 博通)

国語授業の改革7

 中央教育審議会はじめ様々な場で「読解力」向上が叫ばれ「読むこと」の指導が見直されようとしています。また、「確かな学力」の育成、到達目標的な教科指導のあり方も強調されつつあります。
 そういう中で、私たち科学的「読み」の授業研究会が果たすべき役割は少なくないと考えます。もちろん中央教育審議会や文部科学省の方向に無批判に追随するという意味ではありません。こういう情勢の中で、読み研が「読解力」「読むこと」指導などについて問題提起していくことの意味が、より大きくなってきているということです。
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