小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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国語授業の改革

国語授業の改革6

確かな国語力を身につけさせるための授業づくり

はじめに                       
 OECD(経済協力開発機構)学習到達度調査の「読解力」の結果が悪かったことが、日本で大きな問題として論議されています。多くの分析が行われていますが、私はこれまでの国語科教育のあり方を振り返ってみれば、この結果は当然のことであると思います。何と言おうと国語科教育では確かな国語の力を育ててくることができていなかったのです。「読む力」についてもその内実がほとんど解明されないままに、高尚な論議ばかりが繰り返されてきました。私が以前から提唱している「吟味力」「批判力」も軽視されてきました。
 そういう中で、科学的『読み』の授業研究会(読み研)では、小中高で子どもたちに身につけさせるべき「読む力」の具体について多面的に追究してきました。それは、『国語授業の改革』の第4号で中間報告というかたちですでに一部が公表されています。
 この第6号では、その「読む力」を実際にどのような指導で確実に子どもたちに身につけさせていくかを追究しています。指導過程、発問・助言等の指導言、学習集団の指導をはじめとして、さまざまな授業づくりの方法を具体的に提案しました。
 物語・小説については、構造を俯瞰する力、導入部の仕掛けを読み解く力、事件展開の醍醐味を味わう力、着眼点を発見する力、作品のテーマを吟味する力について、授業づくりの方法を提案しています。説明的文章については、同じく構造を俯瞰する力、論理の仕組みを読み解く力、吟味する力、吟味を「書くこと」に生かす力について、授業づくりの方法を提案しました。メディアを読み解く力をどう身につけさせるかも提案しています。また「学び合い」を生かした授業づくりの方法と技術の解明も試みました。詩の全授業記録とその徹底分析、学習集団・授業づくりについての提言も読み応えがあります。
 多くの先生方、研究者の方々に読んでいただき、ご意見・ご批判をいただきたいと考えています。

                    2006年8月
                    読み研代表  阿部 昇(秋田大学)

〈目  次〉

はじめに(阿部 昇)

(1) 特集:確かな国語力を身につけさせるための授業づくりの追究
1 物語・小説の「鍵となる部分」を発見させるための授業づくりの方法 阿部 昇
2 学びの共同体と学習集団の授業  柴田 義松  
3 作品構造を俯瞰する力を身につけさせる授業
「大造じいさんとガン」(椋鳩十)〔光村図書(他)・小学校五年〕を例に 本山 智子 
4 導入部の仕掛けを読み解く力を身につけさせる授業
「やい、とかげ」(舟崎靖子)〔教育出版・小学校四年〕を例に 佐藤 建男 
5 事件展開の醍醐味を味わう力を身につけさせる授業
「走れメロス」(太宰治)〔光村図書(他)・中学校二年〕を例に 町田 雅弘 
6 作品のテーマを吟味する力を身につけさせる授業
「川とノリオ」(いぬいとみこ)〔教育出版・小学校六年〕を例に 柳田 良雄 
7 物語・小説の着眼点を発見する力を身につけさせる授業
「形」(菊池寛)〔教育出版・中学校二年〕を例に 丸山 義昭  
8 文章構造を俯瞰する力を身につけさせる授業
「ありの行列」(大滝哲也)〔光村図書・小学校三年〕を例に 永橋 和行  
9 論理の仕組みを読み解く力を身につけさせる授業
「アーチ橋の仕組み」(小山田了三)〔教育出版・小学校四年〕を例に 臺野 芳孝
10 文章を吟味する力を身につけさせる授業
「動物の体」(増井光子)〔東京書籍・小学校五年〕を例に 加藤 郁夫 
11 吟味を「書くこと」に生かす力を身につけさせる授業
「生き物として生きる」(中村桂子)〔光村図書・中学校三年〕を例に 高橋喜代治
12 メディアの仕掛けを読み解き吟味する力を身につけさせる授業
 新聞の読み比べを例に 鈴野 高志  

(2)「学び合い」を生かした授業づくりの方法と技術
1「相互評価」を生かした授業づくり──新聞投稿を使った随筆文指導 加納 一志
2「話し合い」を生かした授業づくり──共同的な学びの場をつくるために 宮城 洋之  
3「討論」を生かした授業づくり──討論を成立させるために必要なこと 岩崎 成寿 
4「学習ゲーム」を生かした授業づくり──クイズ、言葉あつめ、ゲームで片仮名言葉について理解させる 加藤 辰雄 
5 学び合いを生かすための発問の方法と技術──二分法〈正解/不正解〉的に「思い込む」思考を警戒せよ 薄井 道正  
6 グループ学習を学び合いに生かすためのポイント──ダイナミックな読みの学び合いを作りだそう 内藤 賢司 
7 グループリーダーを育てるための方法と技術──グループ学習のカギを握るリーダー指導 小倉 泰子  

(3) 新教材・詩「挨拶─原爆の写真によせて」(石垣りん)の1時間の全授業記録とその徹底分析
1 詩「挨拶─原爆の写真によせて」(石垣りん)〔光村図書・中学校三年〕の1時間の全授業記録 奥富 浩/加藤郁夫  
2 授業へのコメント 1──「違和感」から主題は読み解けたか 杉山 明信
3 授業へのコメント 2──違和感、関連づけ、重なる表現への注目など「読むための方法」 阿部 昇 
4 授業者自身のコメント──「きりくち」と「まとめ」 高橋喜代治  

(4) 国語科教育の改革──学習集団・授業づくりについての提言
1 異質共存・共同の授業を創り出すために──言語コミュニケーションの側面を中心に 大槻 和夫  
2 学習集団の授業づくりと発問 豊田ひさき  
3 国語の授業改革と学習集団 藤原 幸男  
4 超歴史的読みから状況的読みの構築へ 子安 潤  
5 「読解力」の低下問題をどう乗り越えるか──〈解釈〉と〈分析〉の統合による授業づくり 鶴田 清司 
6 ゆるやかな学習集団への転換 小林 義明

(5) 国語科の「授業づくり」を考えるための読書案内──国語教師のために私が勧めるこの一冊
 『ヴィゴツキー入門』(柴田義松著) 森岡 修一 
 『地図の想像力』(若林幹夫著) 里見 実  
 『なぜ日本人は「ごんぎつね」に惹かれるのか』(鶴田清司著) 田中 実
 『十五歳が受け継ぐ平和のバトン祖父母に聞いた二三五の戦争体験』
  (女子学院中学校「祖父母の戦争体験」編集委員会編) 森本 真幸
 『絵本づくりトレーニング』(長谷川集平著) 松崎 正治  
 『イメージをさぐる──からだ・ことば・イメージの授業』(鳥山敏子著) 住田 勝

国語授業の改革6

はじめに                       
 OECD(経済協力開発機構)学習到達度調査の「読解力」の結果が悪かったことが、日本で大きな問題として論議されています。多くの分析が行われていますが、私はこれまでの国語科教育のあり方を振り返ってみれば、この結果は当然のことであると思います。何と言おうと国語科教育では確かな国語の力を育ててくることができていなかったのです。「読む力」についてもその内実がほとんど解明されないままに、高尚な論議ばかりが繰り返されてきました。私が以前から提唱している「吟味力」「批判力」も軽

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