小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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国語授業の改革

国語授業の改革4

国語科の教科内容をデザインする

はじめに
 「国語」は、すべての教科のうちでも最もその教科内容が曖昧な教科の一つであると言えます。もちろん、算数・数学であっても社会であっても、厳密に検討すればその教科内容に曖昧さがあることは間違いないのですが、しかしそれでも国語ほど曖昧ではありません。国語は、漢字や一部の言語事項を除けば、どういう力を子どもたちにつけたらいいのか、「読むこと」についても、「書くこと」についても、「話すこと・聞くこと」についても、その具体はまだまだ未解明なままです。
 学習指導要領の国語には、確かに「内容」が示されています。が、それはあまりにも抽象的で、そこからは具体的な学力の内実は見えてきません。国語科教育関係の書籍・雑誌・研究書を見ても、似たり寄ったりの状態です。国語では、その一方で具体的な、しかし極めて断片的な「ハウツー」がもてはやされる傾向もあります。それはそれで一定の意味はありますが、決して国語の教科内容の中核にはなりえません。
 そういう中で、国語についても「絶対評価」あるいは「指導と評価の一体化」が要求され、「確かな学力」が強調されています。また、教科内容の具体を曖昧にしたままで、発問や助言のあり方を考える授業論、あるいは教材開発・教材研究について考える教材論が展開されてもいます。が、教科内容を曖昧にしたままで「評価」あるいは「確かな学力」を言っても空回りするだけですし、授業論、教材論も方向が定まらないままに空理・空論が展開されていく危険があります。
 『国語授業の改革』第4号は、そういった現状認識に基づいて国語科の教科内容の具体をより体系的に明らかにしようと考えました。文学作品、説明的文章、メディア、語彙等について、構造、形象・論理、吟味といった観点から教科内容をデザインしました。同時に教科書教材を例にそれを開いてみました。まだ完成されたものではありませんが、一つの提案として大きな意味をもつものと考えます。
 多くの先生方、研究者の方々に読んでいただき、ご意見・ご批判をいただきたいと考えています。

〈目 次〉

 特集:国語科の教科内容をデザインする

1 国語科の教科内容をデザインする──教科内容再構築のための試み(阿部 昇)
2 批判的リテラシーの習得を目ざして(柴田義松)
〈構造を読む力のデザイン〉
3 物語・小説の構造を読む力
「きつつきの商売」(林原玉枝)〔光村図書・小学校三年〕を例に(加藤郁夫)
4 説明的文章の構造を読む力
「動物とくらす」(林 良博)〔光村図書・小学校三年〕を例に(鈴野高志)
〈形象・論理を読む力のデザイン〉
5 文学作品(物語・小説)の形象を読む力
「ごんぎつね」(新美南吉)〔光村図書(他)・小学校四年〕を例に(阿部 昇)
6 物語・小説の着眼点を発見する力──「線引き」
「ごんぎつね」(新美南吉)〔光村図書(他)・小学校四年〕を例に(丸山義昭)
7 説明的文章の論理を読む力
「クジラの飲み水」(大隅清治)〔三省堂・中学校一年〕を例に(岩崎成寿)
〈吟味する力のデザイン〉
8 文学作品(物語・小説)を吟味する力
「走れメロス」(太宰治)〔光村図書(他)・中学校二年〕を例に(阿部 昇)
9 説明的文章を吟味する力
「日本語を考える」(水谷修)〔教育出版・小学校五年〕を例に(柳田良雄)
10 メディアを吟味する力
新聞・雑誌・広告を例に(高橋喜代治)
11 語彙を吟味する力
「森のスケーターやまね」(湊秋作)〔教育出版・小学校三年〕を例に(小林義明)

 1時間で国語力をつけられるスポット実践──投げ入れ単元のすすめ

1 ドラマティックに語彙を解読する──詩と短歌の意味・形・音(小倉泰子)
2 言葉遊びで言語感覚を磨く──キャッチコピーと折り込み川柳(町田雅弘)
3 漢字の正体を推理し解説する──二字熟語と四字熟語の秘密(本山智子)
4 音読と解釈の相互作用で力をつける音読ゲーム──「ののはな」(谷川俊太郎)を伝え合う(京野真樹)
5 物語を投げ入れ「読み」の力をつける──「はな」(新美南吉)のクライマックス(加藤辰雄)
6 詩の「転」を討論する──「わたしが一番きれいだったとき」(茨木のり子)の構造(内藤賢司)
7 テレビコマーシャルを解読する──色・場所・人物からのアプローチ(臺野芳孝)
8 リサーチ・リテラシーの授業を創る
──朝日新聞「小学生だってやせたいもん」の新聞記事を利用して「データ」の信憑性を分析する(石川 晋)

 小学校・新教材・詩「つもった雪」(金子みすゞ)の1時間の全授業記録とその徹底分析

1 小学校教材「つもった雪」(金子みすゞ)の1時間の全授業記録(五十嵐淳)
2 作品にふさわしいモノサシを使って読む──授業へのコメント その一(鶴田清司)
3 学ぶべき点と注文と──授業へのコメント その二(杉山明信)
4 構造よみ・技法よみ・主題よみの流れを考える──授業者自身のコメント(臺野芳孝)

 提言・国語科教育の改革

1 国語科教育が言語の教育になれる日は来るのか(渋谷 孝)
2 国語教室における演劇的空間の創造──ことばにおける身体性の復権と対話性の回復(大内善一)
3 世界は狂っている。──「さよなら人類」と文学の力(須貝千里)
4 語りコトバの教育を大胆に(鈴木康之)
5 「国語」教育の内と外(里見 実)

 国語科の教科内容を考えるための読書案内──国語教師のために私が勧めるこの一冊

西郷竹彦著『虚構としての文学』(足立悦男)
深瀬幸一著『るつぼの中の国語教師』(高野保夫)
高橋和夫著『国語教材論の構想──言語象徴と対象世界』(府川源一郎)
高島俊男著『漢字と日本人』(西口敏治)
保坂和志著『書きあぐねている人のための小説入門』(上谷順一郎)
柴田武他著『ことばの意味』(喜岡淳治)
三森ゆりか著『論理的に考える力を引き出す2 絵本で育てる情報分析力』(三森ゆりか)
薄井道正著『謎とき国語への挑戦』(薄井道正)

国語授業の改革4

はじめに
 「国語」は、すべての教科のうちでも最もその教科内容が曖昧な教科の一つであると言えます。もちろん、算数・数学であっても社会であっても、厳密に検討すればその教科内容に曖昧さがあることは間違いないのですが、しかしそれでも国語ほど曖昧ではありません。国語は、漢字や一部の言語事項を除けば、どういう力を子どもたちにつけたらいいのか、「読むこと」についても、「書くこと」についても、「話すこと・聞くこと」についても、その具体はまだまだ未解明なままです。
 学習指導要領の国語には、確かに「内容」が示されています

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