小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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国語授業の改革

国語授業の改革10

国語科教科内容の系統性はなぜ100年間解明できなかったのか─新学習指導要領の検証と提案─

〈はじめに〉

 2011年から小学校で完全実施される学習指導要領「国語」では、「系統性」が重視されています。「国語科の指導内容は、系統的・段階的に上の学年につながっていくとともに、螺旋的・反復的に繰り返しながら学習し、能力の定着を図ることを基本としている。」と『小学校学習指導要領解説・国語編』にあります。
「国語」という教科が1900年にできて以来、これまでその教科内容は曖昧にされ続けてきました。それと連動して「系統性」の解明も不十分なままでした。その意味で新学習指導要領「国語」で「系統性」を重視していることは評価できます。しかし、実際にはそのとおりの内実を十分には伴ってはいません。たとえば低学年は登場人物の「行動」、中学年は登場人物の「性格や気持ちの変化」、高学年は登場人物の「相互関係」となっていますが、これで系統的といえるか疑間です。とはいえ不十分さを批判しているだけでは前進はありません。具体的な「系統」試案を提示し検討を繰り返しつつ、多くの実践により検証していく必要があります。
 以上のような趣旨で本書を編集しました。本書が国語科教育における教科内容の「系統性」の解明に一石を投じるものになると自負しています。
 第I章では、柴田義松先生と阿部昇の「系統性」についての論考を位置づけました。その上で、物語。小説、説明的文章の「系統」試案とそれにもとづく授業のあり方について提案をしています。第II章では、「系統性」を意識しつつ、詩、語句・語彙、新聞記事、コラム・社説、広告・写真、読書指導、討論・ディベートの新しい授業づくりについて提案しています。第III章では小学校の古典の全授業記録の「徹底分析」を提示しました。第IV章では、気鋭の研究者の方々に国語の「系統性」について論じていただいています。
『国語授業の改革』には、その名のとおりこれまでの国語の授業を改革するための糸口がたくさんあります。多くの先生方、研究者の方々に読んでいただき、ご意見、ご批判をいただきたいと思います。

 2010年8月
                            科学的『読み』の授業研究会代表
                            阿部 昇(秋田大学)


〈目次〉

1 国語科の教科内容の「系統性」を解明する
  〈問題提起〉
   1 国語科の教科内容の系統性は100年間解明されてこなかった(阿部昇)
   2 新学習指導要領と国語の教科内容の「系統性」(柴田義松)
  〈物語・小説の系統性〉  
   3 物語・小説の構成・構造の系統性を解明する(臺野芳孝) 
   4 物語・小説の形象・レトリックの系統性を解明する(阿部昇)
   5 物語・小説の吟味・批評の系統性を解明する(鈴野高志)
  〈説明文の系統性〉
   6 説明文の構成・構造の系統性を解明する(永橋和行)
   7 説明文の論理・要約の系統性を解明する(加藤郁夫)
   8 説明文の吟味・批判の系統性を解明する(岩崎成寿)
  〈メディアと古典の系統性〉
   9 NIE・メディアリテラシーの系統性を解明する(高橋喜代治)
   10 古典の系統性を解明する(熊添由紀子)

2 「系統性」を重視した新しい国語の授業づくり
   1 詩の技法を生かした授業(熊谷尚)
   2 新聞記事を読む力を育てるNIEの授業(小室真紀)
   3 コラムの比べ読みの学習(志田裕子)
   4 広告・写真を読む力を育てるメディアリテラシーの授業(大内日秀朗)
   5 文法を意識した読みの授業(鈴野高志)
   6 語句・語彙の差異を見抜く力を育てる授業(五十嵐淳)
   7 読書指導を総合させた授業(加藤辰雄)
   8 討論・ディベートの力を育てる授業(町田雅弘)
3 小学校・古典「竹取物語」の1時間の全授業記録とその徹底分析
   1 『竹取物語』(冒頭)-かぐや姫の発見-の1時間の全授業記録(竹田博雄)
   2 授業へのコメント-その1(竹林一志)
   3 授業へのコメント-その2(松井健)
   4 授業者自身のコメント(加藤郁夫)

4 国語科教育の改革-教科内容の「系統性」に関する提言
   1 言語思考力育成系統化の一考察(浜本純逸)
   2 「系統性」の複雑性をめぐるメモ(望月善次)
   3 国語科教科内容の「系統性」確定上の問題点と今後の方向(大槻和夫)
   4 国語科の教科内容論の展開と今後の課題(鶴田清司)
   5 教科内容の系統化において意識すべき3つの観点(松崎正治)

5 国語の教科内容の「系統性」を考えるための読書案内-私が勧めるこの一冊
   『〈解釈〉と〈分析〉の統合をめざす文学教育』(鶴田清司著)(菅原稔)
   『西郷竹彦文芸・教育全集3 国語科の全体像』(足立悦男)
   『西郷竹彦文芸・教育全集3 国語科の全体像』(大内善一)
   『「読書算」はなぜ基礎学力か』(柴田義松著)(中村哲也)
   『文学作品の読み方教育論』(鈴木秀一・三上勝夫著)(藤原顕)
   『教育の職業的意義-若者、学校、社会をつなぐ』(本田由紀著)(上條晴夫)
   『秋田大学教育文化学部付属小学校・授業改革への挑戦・国語編』(阿部昇)

国語授業の改革10

〈はじめに〉

 2011年から小学校で完全実施される学習指導要領「国語」では、「系統性」が重視されています。「国語科の指導内容は、系統的・段階的に上の学年につながっていくとともに、螺旋的・反復的に繰り返しながら学習し、能力の定着を図ることを基本としている。」と『小学校学習指導要領解説・国語編』にあります。
「国語」という教科が1900年にできて以来、これまでその教科内容は曖昧にされ続けてきました。それと連動して「系統性」の解明も不十分なままでした。その意味で新学習指導要領「国語」で「系統性

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