小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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国語授業の改革

国語授業の改革11

新しい教科書の新しい教材を生かして思考力・判断力・表現力を身につけさせる

〈はじめに〉

 新学習指導要領にもとづく新しい小学校国語教科書がこの四月から使われ始めています。来年四月からは新しい中学校国語教科書が使われ始めます。今回の学習指導要領改訂は、OECDのPISA(生徒の学習到達度調査)を強く意識して行われました。「思考力、判断力、表現力」の重視もその一つです。新しい国語教科書にもそれらの要素が、様々なレベルで反映されています。
 説明的文章教材も物語・小説教材も、新しいものが数多く掲載されています。図表や写真等を重視した教材、仮説的な見方を含んだ論説文教材も出てきました。新聞教材や古典教材もより本格的な位置づけとなりました。
 新学習指導要領「国語」では、教科内容がより具体的になり、同時に「系統性」が重視されています。評価力・批評力も重視されています。それらに関わって新教科書の学習の手引き頁が大きく変わりました。文章や作品の構成・構造に関する手引き、仕掛けやレトリックに関する手引き、論理関係や柱の段落・文に関する手引き等が増えています。「あなた自身はどう考えるか」など吟味・評価・批判に関する手引きも多く見られます。
 大きな変化が見られる新教科書・新教材ですが、先行実践も先行研究もほとんどありません。今必要とされるのは、「どうすれば新教科書を生かして思考力・判断力・表現力を身につけさせることができるか」の提案です。
 第?章では、菅原稔先生と阿部昇の新教科書に関する論考を位置づけました。その上で、新教材でそれぞれ身につけさせるべき国語の力、教材研究、指導過程、授業展開例を提示しました。第?章では、古典と新聞の授業入門を特集しました。第?章では、物語新教材の授業記録を載せ多面的な検討を行いました。第?章では、気鋭の研究者の方々に新国語教科書について論じていただいています。
 『国語授業の改革』には、その名のとおり国語の授業を改革するための切り口がたくさんあります。多くの先生方、研究者の方々に読んでいただき、ご意見・ご批判をいただきたいと思います。

                          読み研代表  阿部 昇(秋田大学)

はじめに(阿部 昇)

I 新学習指導要領 新教科書の新教材を使った新しい授業

<問題提起>
1 新国語教科書の新教材で思考力・判断力・表現力は身につくか
  ――二三年版小学校・二四年版中学校国語教科書の新教材と手引きを検討する(阿部 昇) 
2 新学習指導要領・新教科書の新教材を検討する
  ――新しい説明文教材の新しい授業を拓く二教材構成(菅原 稔) 
<物語・小説の新教材>
3 小学校の新しい物語教材で思考力・判断力・表現力を育てる・低学年
  ――「わたしはおねえさん」(いしいむつみ)の仕掛けを読む[光村図書二年](加藤辰雄)
4 小学校の新しい物語教材で思考力・判断力・表現力を育てる・中学年
  ――「初雪のふる日」(安房直子)の作品構造を読む[光村図書四年](永橋和行) 
5 小学校の新しい物語教材で思考力・判断力・表現力を育てる・高学年
  ――「世界でいちばんやまかしい音」(ベンジャミン・エルキン)の作品構造を読む[東京書籍五年](熊添由紀子) 
6 中学校の新しい小説教材で思考力・判断力・表現力を育てる
  ――「星の花の降るころに」(安東みきえ)のクライマックスを読む[光村図書一年](岩崎成寿) 
<説明的文章の新教材>
7 小学校の新しい説明的文章教材で思考力・判断力・表現力を育てる・低学年
  ――「だれがたべたのでしょう」の文章構成を読む[教育出版一年](志田裕子)
8 小学校の新しい説明的文章教材で思考力・判断力・表現力を育てる・中学年
  ――「『ゆめのロボット』を作る」(小林宏)を吟味する[東京書籍四年](臺野芳孝)
9 小学校の新しい説明的文章教材で思考力・判断力・表現力を育てる・高学年
  ――「『鳥獣戯画』を読む」(高畑 勲)の工夫を読む[光村図書六年](鈴野高志) 
10 中学校の新しい説明的文章教材で思考力・判断力・表現力を育てる
  ――「月の起源を探る」(小久保英一郎)の小見出しを評価する[光村図書三年](高橋喜代治)
<メディアと古典の新教材>
11 小学校の新しい古典教材で思考力・判断力・表現力を育てる
  ――狂言「柿山伏」の「おもしろさ」を読む[光村図書六年](加藤郁夫)
12 小学校の新しい新聞教材で思考力・判断力・表現力を育てる
  ――「新聞を読もう―北島選手の記事の読み比べ」で表現意図を読む[光村図書五年](熊谷 尚)

II 新学習指導要領の新しい内容に応える授業展開――古典と新聞の「入門」に徹底的にこだわる

1 小学校の「古典入門」の授業
  ――日本語の力を鍛える古典教育を(加藤郁夫)
2 中学校・高等学校の「古典入門」の授業
  ――「徒然草」序段を使った新しい入門(竹田博雄) 
3 小学校・中学校の「新聞入門」の授業
  ――写真を選びながら記事の中心内容をつかむ(大内秀朗)
4 小学校の「新聞記事の書き方入門」の授業
  ――新聞記者になって出来事を分かりやすく伝えよう(鳥谷幸代)
5 中学校の「社説の比較入門」の授業
  ――新聞に「もの申す」姿勢を育てる(杉山明信)
6 高等学校の「社説の比較入門」の授業
  ――比較から主体的評価へ(丸山義昭)

III 小学校の新しい説明的文章教材の全授業記録とその徹底分析

1 「動いて、考えて、また動く」(福野進)[光村図書四年]の1時間の全授業記録(内藤賢司)
2 授業へのコメント――その1
  ――段落相互の関係についての構造的把握に甘さがある(阿部 昇)
3 授業へのコメント――その2
  ――「自立した読み」を目指す授業(湯原定男)
4 授業者自身のコメント(永橋和行)

IV 提言――国語科新教科書と思考力・判断力・表現力

1 新学習指導要領の問題点
  ――国語の「基礎・基本」をどうとらえるか(柴田義松)
2 「言語活動」の充実と「思考力・判断力・表現力」の育成
  ――これからの国語科教育をひらく『伝え合う言葉 中学国語』(教育出版)の九の仕掛け(須貝千里)
3 言語活動と思考展開表現(森山卓郎)
4 思考の「型」(藤森裕治)
5 小学校新教科書を読む
  ――光村図書出版の国語科教科書を中心に(麻生信子)

V 新学習指導要領の「思考力・判断力・表現力」「言語活動」を考えるための読書案内――私が薦めるこの一冊

『帝国日本の言語編成』(安田敏朗 著)(渋谷 孝)
『プチ哲学』(佐藤雅彦 著)  町田 守弘
『コミュニケーション力を引き出す―演劇ワークショップのすすめ―』(平田オリザ・蓮行 著)(小川雅子)
『メタ認知―学習力を支える高次認知機能―』(三宮真智子 編)(鶴田清司)
『「レポート力」を鍛える』(大西道雄 著)(児玉 忠)
『発問上達法―授業つくり上達法PART2―』(大西忠治 著)(町田雅弘)
『本の読み方―スロー・リーディングの実践』(平野啓一郎 著)(深澤広明)

国語授業の改革11

〈はじめに〉

 新学習指導要領にもとづく新しい小学校国語教科書がこの四月から使われ始めています。来年四月からは新しい中学校国語教科書が使われ始めます。今回の学習指導要領改訂は、OECDのPISA(生徒の学習到達度調査)を強く意識して行われました。「思考力、判断力、表現力」の重視もその一つです。新しい国語教科書にもそれらの要素が、様々なレベルで反映されています。
 説明的文章教材も物語・小説教材も、新しいものが数多く掲載されています。図表や写真等を重視した教材、仮説的な見方を含んだ論説文教材

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