小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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夏の大会

第25回夏の大会報告

内藤賢司(大会運営事務局)

1 はじめに

 本研究大会は、「新学習指導要領・新教科書の新教材を使って思考力・判断力・表現力を育てる」というテーマで、2011年8月20〜21日の2日間、東京・成蹊大学で行われた。参加者は150名を得、読み研の研究会にふさわしい充実した学びが展開された。
 以下、大会報告ということで、その概略を述べる。(詳細については、10月発行予定の『読み研通信』をご覧ください。)

2 基調講演

 読み研代表である阿部昇氏による講演。【新学習指導要領・新教科書の新教材・有名教材と学習の手引きをわかりやすく読み解く――「言語力」「思考力・判断力・表現力」をどう身に付けさせるか】というテーマで、具体的で内容豊かな歯切れのいい講演であった。その内容のいくつかを次に示しておく。
・今度の新学習指導要領は、PISA→全国学力・学習状況調査の流れを受けている。
・そこから、「自分の意見」「自分の考え」「評価」「批評」といった内容が出てきている。これは読み研のいう「吟味よみ」と重なるものである。
・また、教科内容の明示化、具体化、系統化をめざそうとしている。
・そういう指導要領に規定されて、国語教科書の教材にも変化が生まれてきている。
・説明的文章教材では、論説文や構造や段落や文の論理関係などを学ばせようとする教材がこれまで以上に意識的に取り上げられるようになってきている。
・物語・小説教材では、構成・構造などの作品の仕掛けが見えてくるような教材が取り上げられるようになってきた。
・このような教材設定に従うかたちで、学習の手引きも変わってきている。
・説明的文章では、文章構造(構成)を学ばせるもの、段落相互の関係や「柱」を学ばせようとするもの、表現の工夫を対象化させようというもの、文章を吟味させようとするものなどが出てきている。
・物語・小説でも、作品構成の仕掛け、導入部の人物設定、人物相互の関係性、象徴的表現などに着目させたり、批評・吟味させるような手引きも出てきている。
・指導要領や教科書、手引きの問題点(例えば系統性など)についての指摘もあった。
 指導要領―教科書―手引きというこれらの具体的な提案は、現場の私たちにはまことに新鮮に映るものであった。

3 ワークショップ的分科会?――説明的文章教材の徹底分析と授業づくり

 ここでは、3つの分科会をもった。

(1)「小学校・低学年中学年新教材」―「おにごっこ」を使って 
(2)「小学校・高学年新教材」―「ゆるやかにつながるインターネット」を使って 
(3)「中学校有名教材」―「モアイは語る」を使って
  
4 ワークショップ的分科会?――物語・小説教材の徹底分析と授業づくり

 ここでは、3つの分科会をもった。

(1) 新教材を使った物語・小説の授業づくり・徹底入門―「スイミー」「あめ玉」を使って 
(2)「小学校・新教材」―「わたしはおねえさん」を使って 
(3)「中学校・有名教材」―「盆土産」を使って

5 オプション企画

 次の4つを設定した。

(1) 入門講座・新教材を使った説明的文章の授業づくり・徹底入門―「生き物は円柱形」を使って(この講座は1日目の午前中に設定)
(2)「言語活動」を生かした国語の授業づくり入門―「ごんぎつね」「茂吉のねこ」を使って
(3) 小学校「古典」の授業づくり入門―俳句と「平家物語」冒頭を使って 
(4) 中学校・高校「古典」の授業づくり入門―「平家物語」「大鏡」を使って

6 記念講演と討論的対話

 講演では、都留文科大学の鶴田清司先生に「知識・技能の習得・活用をめざす文学の授業―読みの技術をいかに学ぶか―」というテーマで、お願いした。
 講演内容の一部を紹介したい。(以下はあくまで報告者・内藤のとらえたものである。)
・〈教科内容〉としての「読みの観点・方法・技術」が本当に「自分のもの」になるためには、教師が一方的に教え込んだり、ひたすらドリルをやらせたりするのではなく、子どもたちの学習意欲に基づく協同的な学び合いが有効だということ。「知識伝達型」の授業から「知識創造型」の授業への転換が必要。(当日のレジュメから)
・例えば、「お手紙」の主人公は「かたつむりくん」であってもいい。それが子どもなりの思いに支えられていればそれを認めてもいい。正解は一つというようにすることで、子どもの学びを狭めてしまう。
・大切なことは、子どもたちが共同で学び合い、他者の考えを知り、自分の考えを相対化していくことである。
・読み研には「読みのものさし」があるが、これをトップダウン式にダイレクトに教えてしまうという危険性をもっている。定義の枠の中に子どもたちの考えを狭く閉ざしてしまうという傾向をもっている。
 これを受けて、読み研代表の阿部氏との対話が行われた。阿部氏は、例えば次のような発言をした。(これも報告者・内藤のとらえたものである。)
(1) 鶴田先生の話の多くを肯定できるとしても、例えば「お手紙」の主人公を「かたつむりくん」とすることに対する違和感がある。「かたつむりくん」まで主人公として認めるとなれば、なんでもありの授業になってしまう恐れがある。
(2) 指導するということは、どういう場合であっても外からの働きかけがあるのであり、子どもの内面の思いだけでは、学びの実質は保障できない。
(3) 読み研は「読みのものさし」を持っているが、それが図式的なものにならぬようにこの20年間研究を重ねてきた。その「読みのものさし」は、読みの力を培い読みの豊かさをつくり出すためのものであった。何でもありのアナーキーな読みからの脱却を目指すものでもあった。等々。
 二人の対話は、実にスリリングであった。フロアーからの意見も出され、読みの指導というもののあり方について、参加者全員がわくわく感をもって学び合うことができた。

7 全体模擬授業――新教科書・新教材を使った物語の授業

 授業者は京都・立命館小学校の永橋和行氏。新教材「初雪のふる日」で模擬授業を行った。
 永橋さんの提案は、
・クライマックスを明らかにすることで事件の流れが見えてくること。
・そこから読むべき箇所(線引きカ所)も明らかになること。
・線引きした部分の形象読みをどう展開したらよいか。
 というものであった。
 全体模擬授業で、線引きカ所を明らかにするという提案は初めての試みであり、読み取りについての大きなヒントを参加者に与えたと思う。
 
8 終わりに

 東日本大震災後の初めての夏の研究会。読み研として第25回目の研究会。節電中ということもあり、暑さの中での学びではあったが、その暑さを吹き飛ばすような実りある研究会になったと思う。私自身、読み研の出番が来ているという実感を確かなものにすることができた。

第25回夏の大会報告

1 はじめに

 本研究大会は、「新学習指導要領・新教科書の新教材を使って思考力・判断力・表現力を育てる」というテーマで、2011年8月20〜21日の2日間、東京・成蹊大学で行われた。参加者は150名を得、読み研の研究会にふさわしい充実した学びが展開された。
 以下、大会報告ということで、その概略を述べる。(詳細については、10月発行予定の『読み研通信』をご覧ください。)

2 基調講演

 読み研代表である阿部昇氏による講演。【新学習

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