小・中・高における国語授業の改革 文学作品・説明的文章を読む方法 -構成・構造、形象・論理、吟味・批評- の追究 「読み」の授業研究会

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「ちいちゃんのかげおくり」山場の部をよむ

『読み研通信』111号(2013.7)より

奥冨 浩 (三芳町立竹間沢小学校)

○はじめに
 二〇一一年にも、当通信にて「ちいちゃんのかげおくり」構造よみのレポートをしました。今回は、山場の部のよみを報告します。
 子どもたちの発言を基に、読みを深めていければいいなと思いながら授業をすすめました。
 以下、授業記録を報告します。

山場の部の読み。ここはクライマックスを含んでいるので、クライマックスに直結する展開や表現を読み取らせる。
授業の初めに、導入部・展開部を簡単に振り返る。そして、「山場のはじまり・P15-4明るい光が顔に当たって、目がさめました。」と板書。山場の部を2人の児童に前半・後半と読んでもらった。気持ちを込めて、と指示した通り、上手に読んでくれた。
 
T:はい、2人の人、とても上手に読んでくれましたね。拍手! さて、いよいよ、クライマックスを含んだ山場のところを読んでいきます。ここでは、クライマックスに結びつく、重要な出来事が起こりますね。そこを探してもらいます。その前に確認。クライマックスってどこだっけ?
C:「そのとき、体がすうっとすきとおって、空にすいこまれていくのが分かりました。」です。
 T:そうだね。そこがクライマックス。そこに結びつく出来事を探すんだよ。では、時間を2分とります。まず、自分一人で考えて、教科書に線を引いてください。何本でもいいですよ。
  (児童の中には、「結び付く」という言葉から「結び」を見つければいいと勘違いしてしまう子もいた。修正しつつ、机間指導しながら様子を見ていた。中には、「クライマックスのときにいっぱい線を引いちゃった。」という児童もいた。それはそれでいいから、もう一度よく考えてみて、と声掛けした。)
T:はい、やめ。時間です。では、班ごとに自分の考えを発表しあってください。座席はそのままで、体だけ寄せて相談してください。みんなが考えた部分が、どのようにクライマックスに関わっているか、考えるんですよ。では、どうぞ。
  (班討議。討議といっても一つにまとめることではないので、互いの発表を聞きあう程度。)
T:はい、やめ。では、発表できる班、または発表できる人。(10人程度挙手。)指名。
C:はい。「そのとき、『かげおくりのよくできそうな空だなあ。』というお父さんの声が、青い空からふってきました。」のところです。
T:はい、いいですね。他には?
C:「ちいちゃんは、暑いような寒いような気がしました。」
T:はい、これもいいですね。まだありますか。
C:はい。「ちいちゃんが空を見上げると、青い空に、くっきりと白いかげが四つ。」です。
T:はい。ほかは?
C:「ちいちゃんは、ふらふらする足をふみしめて立ち上がると、たった一つのかげぼうしを見つめながら、数えだしました。」です。
C:先生。後ろの方でもいいですか。
T:あ、ちょっと待って。クライマックスよりも前の部分にしてください。・・・もう、いいですか。では、出された意見を順番に書いていきますよ。そこで考えていきましょう。まず初めは、「暑いような、寒いような」、これ、ちいちゃんのこと、ちいちゃんが感じていることですね。ここから何がわかりますか。
C:気持ち悪いのかな。
C:力が弱っているんだと思います。
T:そうだね。力が弱っている。みんなも、風邪をひいたり、病気になったりして熱があるときはこんな風になるんじゃない?(なるなる、あるあるなどの声。)ちいちゃん、体がよわっているのかな。食べ物はどうだったっけ?
C:ほしいいをすこしかじってた。
T:それだけではおなかは?
C:いっぱいにならない。
T:そうだね。それに、寝るところもこわれかけたぼうくうごうです。こんな状態では、からだもまいっちゃうね。(気持ち悪い・体がよわっている、と板書。)
T:次は、「そのとき、・・・・・・ふってきました。」ですね。ここから分かることは?
C:・・・・・・
T:空から声がふってくるなんてこと、実際には・・・
C:起こらない。
T:そう。実際にはおこらない、不思議なことなんだ。それが起こっているということは・・・
C:はい。ちいちゃんが、お父さんやお母さんにどうしても会いたい、という気持ちが強かったから、聞こえたんだと思います。
T:ああ、そうか。ちいちゃんの心が強くそう願っていたから、心にとどいたのか。なるほど。この声は、じゃあ、もし誰かがそばにいた時、その人には・・・?
C:聞こえない。
T:そうですね。お父さんの声も、お母さんの声も、お兄ちゃんの声も、ちいちゃんだけ、ちいちゃんの心にだけ、届いたのでしょうね。不思議な出来事です。(ふしぎ・ありえない・ちいちゃんのこころにとどいた。と板書。)
T:その声を聞いて、ちいちゃんは、ふらふらする足をぐっとふみしめて立ち上がり、かげおくりを始めたんだね。一番初めのかげおくりは4人。次は2人。最後はちいちゃんの、たった一つのかげぼうしを見つめてのかげおくりだね。(ちいちゃんは、・・・・・・数えだしました。と板書。)数えていくと、お父さんたちの声がかさなってきたんだね。
T:そして、「とお。」っていったとき、・・・
C:青い空に、くっきりと白いかげが四つ。
T:(青い空に、くっきりと白いかげが四つ。と板書。)これはどう考えたらいい?
C:はい。ちいちゃんの、お父さんたちに会いたいという強い気持ちがあったから、かげが四つ見えたんだと思います。
T:なるほど。ちいちゃんの気持ちの強さがあらわれているんだね。そうして、その影と共に、ちいちゃんの体もすきとおり、空にすいこまれていった・・・。かげおくりって、地面の影を青空に送る遊びだけど、この、最後のかげおくり、おくったのはかげだけじゃないよね。何をおくったの? ちいちゃんの体はすきとおって、空にきえたっていうんだから・・・
C:ちいちゃんのこころ。たましいかな?
C:はい。ちいちゃんの命だと思います。
T:はい、そうなんですね。最後にやったかげおくりで、かげと一緒に空におくったのは、ちいちゃんの命、たましいと考えられるね。そうやって、ちいちゃんの命が空に、天国に行ったのですね。(お父ちゃんたちに会いたいというちいちゃんの強い気持ち・かげといっしょにちいちゃんのいのち、たましいを空におくった。と板書。)
T:ところで、この部分。「山場のはじまり」は、「明るい光が顔に当たって・・・」ではじまったね。この部分、文のイメージは、明るい?暗い?
C:明るい。
T:そうだよね。その前の、くもった朝とか、こわれかかったぼうくうごう、とか、暗い夜なんて、暗くて、とても怖いイメージがあるよね。それに比べると、ここの場面のはじまりは、明るいイメージですね。でも、ちいちゃんが死んでしまったということが分かるとても悲しい内容が書かれています。そんなことも考えてみようね。
T:今日は、みんな、ちいちゃんのことについて、とっても良く考えることができました。意見もいっぱい言えましたね。明日は、この続きと、最後の場面を読んでいきましょう。終わります。
 
 翌日の授業で、山場の部の後半と終結部の授業を行いました。戦争が終わって、自然に平和になったのではない、「戦争をしない」と決めたから平和になったのだ、という話もしながら、「ちいちゃんのかげおくり」をおわりました。

板書記録 山場の部の形象よみ
山場のはじまり
○明るい光が顔に当たって、目がさめました。
(ちいちゃん)
○暑いような寒いような
・気持ち悪い
・体がよわっている
○そのとき、
 「かげおくりのよくできそうな空だなあ。」
 というお父さんの声が、青い空からふってきました。
・ふしぎ、ありえない
・ちいちゃんの心にとどいた。
○ちいちゃんは、・・・数えだしました。
○青い空に、くっきりと白いかげが四つ。
・お父ちゃんに会いたいという、ちいちゃんの強い
気持ち。
・かげといっしょに、ちいちゃんの命、たましいを
 空におくった。

「ちいちゃんのかげおくり」山場の部をよむ

○はじめに
 二〇一一年にも、当通信にて「ちいちゃんのかげおくり」構造よみのレポートをしました。今回は、山場の部のよみを報告します。
 子どもたちの発言を基に、読みを深めていければいいなと思いながら授業をすすめました。
 以下、授業記録を報告します。

山場の部の読み。ここはクライマックスを含んでいるので、クライマックスに直結する展開や表現を読み取らせる。
授業の初めに、導入部・展開部を簡単に振り返る。そして、「山場のはじまり・P15-4明るい光が顔

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