【国語授業実践講座Q&A 】読み研は,グループ討議を大切に考えているようですが、 何か理由はあるのでしょうか。
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読み研は,グループ討議を大切に考えているようですが、 何か理由はあるのでしょうか。グループ討議を行う利点はあ るのでしょうか。
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読みを深めていく際に、自分の考えをもった上で他者と考えを交流することによって、 新たな発見があったり、考えの根拠に厚みが出たり、複数の考えを摺り合わせて新たな 読みに辿り着いたりする経験は、きっとどの先生方もおありだろうと思います。
このような話し合いが、最初からクラス全体でできるのが理想的ではありますが、大 人数の中で積極的に発言できる子どもが限られていたり、仮に全員積極的なクラスだっ たとしても、クラスの人数によっては発言の機会が得られないまま授業を終えてしまう 子どもがいたりするなど、「全員参加」の話し合いにはなりにくいのが現実です。
「発言しなくても参加はしているし、聞いて理解している」という子どももおります が、「聞いて理解している」「頭の中で言語化している(内言)」ということと、「自分 の考えが他者に伝わるように話す(外言化する)」ということは別次元です。後者の方 が一段高度な力を求められるとともに、話しながら考えや読みが整理されてクリアにな るという利点もあります。発言する機会が多ければ多いほど、一人一人の子どもたちに 読みの力が付いていくと言えるのではないでしょうか。
以上のことを踏まえ、グループ討議の主な利点を整理してみます。 1グループだと話しやすい
「全体の場で話すのは恥ずかしい、自信がない」という子どもでも、少人数のグループであればあまり抵抗なく自分の考えを話すことができます。 2全員が発言の機会を得られる予め「必ずグループ全員が発言する」という約束をクラスで共有しておきます。グ ループリーダーにも、全員に発言のチャンスを与えながら進めるよう指示しておき ます。このことにより、最低でも一人一回は発言の機会が得られます。
3本気度が上がる グループ討議で発言するとなると、自分の考えをもつ際の本気度が違ってきます。
4比較・検討がしやすい たくさんの意見を比較・検討するには、ある程度教師がコーディネートしていく必 要がありますが、3~4人の意見であれば子ども同士での比較・検討が可能です。 「大きく二種類の意見が出ている」「どっちなんだろう」と自然と議論に発展する ケースもあります。
5結果的に力が付く 前述のとおり、外言化することで読みの力も高まります。
このように見てくると、「無理矢理全員に話させる場」のように思われるかもしれま せんが、そうではありません。グループ討議は、「自分の考えを話したい」「友達の考 えを聞きたい」という内的欲求の沸くような学習課題であることを大前提としているか らです。
また、グループ討議後の全体での話し合いで、更に読みを深めるようなコーディネー トも大切にしています。そのためにも、グループ討議で出た意見を全体での話し合いで いかに絡ませ深めていくかを考えながら、各グループへの支援や助言をすることが必要 となります。
今後もグループ討議の場を意図的に設定して、子どもたちの読みの力を高めていきた いと思います。
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