「偏愛マップ」(好きなものマップ)の実践

自問自答する力──セルフトークと自己表現

湯原 定雄(岐阜・多治見西高校附属中学校)

4月、中学2年生の授業で、「偏愛マップ」(好きなものマップ)を書かせた。
「自分の好きなもの」を「好きなように」書くというだけのこと。
自分自身で実際に書いてみて、改めて「自己発見」があった。
だから、ぜひ生徒に書かせたいと考えた。

まずは、私のマップをカラープリントして生徒に紹介した。
そのあと、1時間を使って書かせた。

その時のことを本校のホームページに書いたので、そのまま転載する。

「自問自答する力」

 人は、他人と話すだけでなく常に「自分」と会話しています。
 
 「どの本を読もうかな?」
 「明日、○○くんになんと言って謝ろうかな?」
  
 人と話していなくても、実は自分と忙しく会話しているのが人間です。
 他の人と会話したり書いたりすることばを「外言」というのに対して、心の中で会話しているときの言葉を「内言」といいます。この「内言」を鍛えるのも学校の役割です。

 さて、2年生の「言語の授業」では、「好きなことマップ」を書きました。これは明治大学教授の齋藤孝先生が考案されたもので、先生は「偏愛マップ」と名付けています。ひたすら自分の好きなものを好きなように書いていくマップです。そこには、その人だけの「独自の世界」が表現されます。

 生徒は自分の好きなものを「自問自答」し、「自分自身」を発見する時間となります。

・「好きなものマップ」を書いてみて、「自分が好きなものは何か?」と自分と会話できたのでよかったです。
・書き始めの頃は真剣に悩んだ。普段好きなものがいざとなると全く思い浮かばなくなるからだ。しかし、少しずつ書き進めていくと、逆に手が止まらないほど出てきた。書き終わって達成感を感じた。
・自分でも深く考えたことのなかった「好きなもの」が自分の中からどんどん出てくることがおもしろかった。

 どんな「問い」を自分に発し、その「答え」を導き出すためにどう「思考」するのか。これこそ「言語」(この場合は「内言」)の大きな役割です。

最後に、生徒の書いた「好きなものマップ」を紹介します。なお最後のマップは私の書いたものです。

自分の世界がどんどん広がるマップ

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「読み」の授業研究会(読み研)
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