福岡・八女サークル3月例会の報告と4月例会のご案内
1.3月例会の報告
(1)参加者 6名
(2)日 時 3月21日(土)14:00~17:00
(3)場 所 おりなす八女 第5研修室
(4)内容(概要)
物語「あめ玉」(新美南吉)(光村図書 小5)
物語の典型的な教材として「あめ玉」を取りあげ、「構造よみ」「形象よみ」を通してこの物語の主題をとらえました。
ここでは「クライマックス」について報告します。
「構造よみ」では、まず「発端」か「クライマックス」を見つけることから始めますが、この「あめ玉」の場合は「クライマックス」を最初に見つけるのが分かりやすいと考えました。次の部分が「クライマックス」になります。
さむらいはそれを舟のへりにのせ、刀でぱちんと二つにわりました。
そして、
「そうれ。」
と、二人の子どもに分けてやりました。
構造をとらえる際、「この作品に描かれている事件は何か。」を同時に考えていますが、ストーリーとプロットの違いが話題になりました。このことについては、「読み研 研究紀要Ⅲ」掲載の論文「プロットの転化としてクライマックスを捉え直す」(阿部昇)に詳しく分かりやすく述べられています。
阿部氏は、ストーリーを〈自然の時間の順序に従って動いていく出来事のつながり〉プロットを〈ストーリーを素材として取捨選択され連関させられ仕組まれ形象化された作品そのもの〉と定義しています。さらに「クライマックスは〈その作品では何が決定的な転化・確定として描かれているか〉によって把握する必要がある。ストーリーではなく描かれ方というプロットからクライマックスを把握していくのである。」と述べ、クライマックスの規定(指標)として次の2点を挙げています。
(1)事件の中の二つの関係が転化・確定したところ
(2)読者により強くアピールする書かれ方のところ
「あめ玉」における「二つの関係」とは、さむらいと家族です。母親はさむらいを恐ろしい人物だと思っていることが繰り返し描かれます。そのさむらいがその恐怖の象徴である刀であめ玉を割り「そうれ」と二人の子どもに分けてやるのです。さむらいと家族の関係がここで転化します。困っていた母親の問題もあめ玉をせがんでいた子どもたちの問題も解決すると同時に、緊張関係にあったさむらいと家族が冒頭にある「春のあたたかい日」に象徴される関係に変わるところなので、ここがクライマックスです。
「あめ玉」は「物語をどう読ませるか」を指導するのに中学校でも十分使える作品です。
2.4月例会のご案内
(1)日 時 4月18日(土) 14:00~17:00
(2)場 所 「おりなす八女」 第5研修室
℡ 0943-23-2131
(3)内 容(予定) 参加者の持ち込んだ教材を中心に *連絡先:福岡県八女市立黒木中学校 熊添由紀子
プロフィール
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