第13回関西サークル例会報告(2008.12.29 大阪)

 11月29日(土)に13回目の例会をもちました。参加は5名とやや少なかったのですが、充実した議論ができました。
 内容は、豊中第八中学の糠野さんの「故郷」(魯迅)の教材研究と、高槻中学高校の竹田さんの「カレーライス」(重松清)の教材研究の二本でした。

 最初は糠野さん。「故郷」は三学期に取り組む教材で、それを前に報告して、深めておきたいとの趣旨でした。
 糠野さんの報告は、
1 構成について
2 導入部の形象について
3 色彩について
4 人物について
5 主題について
の大きく5つの点からなされました。糠野さんには、「故郷」という作品が中学3年生にふさわしい教材なのか、また翻訳教材という点での難しさをどうするかということが問題意識としてありました。今回は、たまたま見つけた西本鶏介訳の「故郷」を参考資料としてもってこられました。
 今回の議論の中で特に印象に残ったのは、「わたし」が閏土との昔を回想する場面のことでした。「紺碧の空に金色の丸い月がかかっている。その下は海辺の砂地で、見渡す限り緑のすいかが植わっている。……」この場面が単なる「わたし」の回想ではなく、「わたし」によって勝手に作られた「わたし」にとっての美しい故郷の姿であるという点でした。そしてラストにおいては、閏土の姿はなくその背景だけが再び「わたし」の目に浮かんでくる。この意味をどう読むのかをめぐって議論は様々に展開されました。

 次いで竹田さん。「カレーライス」は今度の冬の研究会で「関西サークル」として提案する教材です。竹田さんの報告は、そのたたき台となるものでした。この作品は前にも関西サークルで報告されていますが(最近では通信に加藤がクライマックスをめぐって書いています)、構造よみでもめる作品といえます。竹田さんは

「でもカレーなの。いいからカレーなの。絶対にカレーなの。」
子どもみたいに大きな声で言い張った。

の箇所をクライマックスとして提起し、ここでひろしが父に対して自己主張をすることで、父親に成長した自分を顕示することができたのだと報告しました。
 また吟味についてもこれまでより実践を一歩進めるであろう提案がなされました。竹田さんの提案については、これからさらに議論を深めて冬の会での関西サークルの提案へと発展させていきます。そのためここでは少々出し惜しみをさせてもらいます。
 興味のある方は、是非冬の会においでください。お待ちしています。