第15回関西サークル例会報告

竹田博雄

 11月27日(土)、京都の本能寺会館において約1年ぶりに「関西サークル」の例会を開きました。参加者は9名。3名の方が初参加でした。お一人は、HPの案内を見たとおっしゃって舞鶴からお越し頂きました。もうお一人は、遠く富山から、京都への旅すがら、例会があることを知ってわざわざ時間を都合してお越し頂きました。そして、今お一人は、「読み研」に興味があるということで大阪から御参加下さいました。また、例会の再開を知って、堺から駆けつけて頂いた先生もおられました。再開してホントによかったと思いました。

 最初は、立命館小学校の加藤郁夫先生による『海の命』の研究発表です。
 クライマックス「おとう、ここにおられたのですか。また会いに来ますから。」という太一の、「おとう」の一言が問題となりました。「父の仇である瀬の主のクエが、なぜここで『おとう』となるのか?」について討論しました。
 また、加藤先生から新しい読みとして、この物語を「太一」と「瀬の主(クエ)」の対立と読むのではなく、「一本づり漁師である与吉じいさ」と「もぐり漁師であったおとう」の、海に生かされる漁師の生き方・世界観の対立として読み取るべきであるという提案があり、活発な議論となりました。
 次に、高槻中学・高等学校の私、竹田博雄が『徒然草』についての研究発表を行いました。第四十五段「公世の二位のせうとに」を中心に討論しました。
 「腹あしき」を「短気・怒りっぽい」と解釈するのは妥当なのか? 「この木を伐られにけり」とここだけ「れ」という尊敬の助動詞が使われている理由は? 「なぜこの段には、徒然草に多く見られる、筆者の、機知のある評価を下した一言が書かれなかったのか?」など、深みのある議論となりました。また、この段を「物語」として捉え、「導入ー展開」という構造を読ませることも出来るという意見は、「読み研」ならではの卓見であったと思います。
 こうして、あっという間の四時間が過ぎ、例会は終了しました。今回の再開を機会に継続していきたいと思います。

(参加者の感想)
○HPを見て参加させて頂きました。全く初めての参加(サークルに、読み研に)だったのでどんな話し合い、議論かと思っていましたが「読み」にこだわり楽しい時間を過ご すことができました。古典の話は初めてだったのでこれも面白かったです。ありがとう ございました。
○ことばに則して物語をよむ大切さは頭ではわかっていたものの、諸先生方の鬼気迫る「よみ方」を目の当たりにし、ひたすら驚くばかりでした。
○久しぶりの学習会への参加でした。やはり、学び続けることは大切だなあと感じました。やっぱり大勢で分析すると深く学べるなあと思いました。
○関西サークルが再開されて、これは参加しなければと思い京都まで来ました。とても刺激的な時間になりました。「海の命」。長文になると、子ども達は読みとりに長続きせず、あきてしまうので、いつも困ります。でも父と与吉じいさの生き方の対立として読んでいくととてもすっきりした形で長文が読めるんだなあと勉強になりました。ただ最後の一文が、とっても気になりました。
 古文の報告はおもしろかったです。学校では解釈中心で、全くおもしろくない授業の経験しかないので、こんな読みもあるのかと議論に引き込まれました。
 ・行為、動作はその人の心情の象徴的なものである。
 ・接続詞で語り手の意図がはっきりする。
など、勉強になることもたくさんありました。また参加したいです。ありがとうございました。
○『海の命』については、以前に少し読んでよくわからなかったところがありました。今日の発表とその後の討論で自分の考えがはっきりし、まとまりました。今度6年生で教えることが楽しみになりました。
 古典『徒然草』についても、本当に勉強になることがたくさんありました。私は今小学校に勤めておりますので、小学生にとっての古典を読む意味を深く考えることができました。
○遅れて参加したので、竹田先生のレポートしか聞けなかったのですが、ちょうど私も徒然草を扱っていたのでとても興味深く考えさせて頂きました。
 古典を読み研方式で読むことも、私の現在の大きなテーマとして考えているところなので、竹田先生の読みは面白かったです。助動詞や助詞の一つ一つにこだわり、現代語訳をする過程にこそ読むべき点があるという指摘はとても示唆に富んでいて、自分のとりくみにもこの視点を取り入れようと思いました。ありがとうございました。
○1古文の読みにセオリーをという発言に、ようやく、読み研の古典文学教材研究部門の始動を感じうれしく思いました。
 2しかし、形象を読むことだけを主眼におくと、誤った道になると思います。慎重な模索を願います。

プロフィール

「読み」の授業研究会
「読み」の授業研究会(読み研)
「読み」の授業研究会は、子どもたちに深く豊かな国語の力を身につけさせるための方法を体系的に解明している国語科の研究会です。
2021年に設立35年を迎えました。