【国語授業実践講座 Q&A 】班学習にすると、おしゃべりが始まってしまい授業になりません。

班学習にすると、おしゃべりが始まってしまい授業になりません。どうしたら知的好奇心を引き出せるでしょうか

 確かにグループ討議は、「討議をしやすく」するため机の向きを変えているので、「おしゃべりもしやすく」なりますよね。班討議の最中のはずなのに、生徒の高笑いが続いたり、いつまでも班の意見がまとめられなかったりすると、おしゃべりばかりで討議がされていないことにがっかりしてしまうこともあるでしょう。クラスの中に後ろ向きの雰囲気も生まれてしまい、授業を管理しづらいと思うかもしれません。せっかく質の高い授業を目指していたのに、それで「対話的な授業」を諦めてしまう。そういう学級も多いかもしれませんね。諦めてしまう前に、次のことを試してみませんか。

① 適切なグループ数・人数か確認する。

話し合いに適した人数は、3~4人です。経験上、2人だと話し合いが広がりません。また5人以上だと集中力がもたなくなり、おしゃべりが始まりやすくなります。(高校三年生くらいになると、かえって5~6人くらいの方が話しやすい時もあるようです。)グループ数は、それに合わせて設定すれば良いかと思います。ただ、授業者の目を行き届かせるためには、多くしすぎない方が得策です。(私は12グループ以内に抑えるようにしています。)

② 授業者が主発問を意識する。

当たり前ですが、教師の発問(指示)が「わかりにくい」「聞こえない」場合は、討議ができません。授業の主発問を文章化してみて、わかりやすいか、取り組みやすいか自分であらかじめチェックをすることをお勧めします。できるだけシンプルな主発問にしてください。また、生徒が聞き漏らすことがないように、教卓の前で、生徒一人一人の目を見ながら、聞き取りやすい声で伝えてください。ここを失敗すると1時間がグダグダになります。

③ 話し合いの前に、個人で考える時間をたっぷり用意する。

授業のその後の展開を考えてここに時間をとらず、いきなり班討議から入る授業があるようです。しかし、授業の中で一番大切にしたいことが何かが明確になれば、どこに時間をかけるべきかが見えてきます。それは「生徒が自分自身で思考すること」です。大人でも原案がなければ話し合いになりません。私はここに5分はかけています。

④ 学習リーダーを用意して、教室に前向きなトーンを作る。

大人でも、いきなり便宜的なグループが組まれたら、最初は様子を見ます。グループの生徒が皆黙ってしまったら、話し合いがすすみません。学習リーダーをあらかじめ用意して、どのように話し合いを進めるかを教えておきます。①一人一人に、案を聞く。②それぞれの案の根拠を尋ねる。③意見が出ないようなら、まず自分の意見を聞いてもらう。……などが一般的な進め方になります。授業者の味方になる、生徒たちです。教室に前向きな活気が生まれます。

⑤ 集中する合図を決めておき、班討議の最中に活用してみる。

主発問の内容が難しくて、討議にならない場合は必要に応じて助言を与える必要もあるでしょう。また、授業に集中力が生まれずに(暑すぎ・プール後・文化祭準備中など)おしゃべりが出てきた時は、仕切り直す必要もあるでしょう。私は「はい」と言ったら何をしていても一旦やめて、前を向くというルールを決めています。一度黒板を向かせて、完全に集中をさせてから、主発問の内容を設問したり助言を出したりします。

⑥ 班討議の時間を設定。時間になったら終了する。

だらだらと長く班討議をしていても、良い意見が出るとは限りません。少し短めの時間を設定することで、討議に協力をしようとします。私は場合によっては、「あと○分」と追い込むこともあります。

⑦ 深い教材分析・綿密な授業準備

子供たちは授業者の様子をとてもよくみています。あらかじめ「深い教材分析」がある場合には、授業に対する自信が出てきます。またあらかじめ「生徒が出しそうな意見」をあらかじめ十分に想像していれば、どのような発言があっても授業の方向性を決めることができます。

是非、お試しください。