【国語授業実践講座Q&A 】上手に意見の交通整理ができません。

構造よみをする時に、生徒から次々と意見が出てきてしまい、上手に意見の交通整理ができません。何かうまい方法はありますか。

回答者:町田 雅弘(つくば)

 ご質問、ありがとうございます。

 構造よみに限らず、討論の授業は本当に難しいですよね。児童(生徒)は、意見を思いつくと言いたくて言いたくて仕方がありません。心はドキドキしてきますし、頭の中もフル回転。「なんて言おうかな」「笑われないかな」「上手に言えるかな」「先生、褒めてくれるかな」……。次々と、様々な思いが浮かんできます。そういう生徒がクラスに何人か現れてくると、クラスは騒然としてきます。「さあ、意見がある人(班)」という教師の指示に子供たちが手を挙げはじめます。「はい」「先生、はい」「わかった!」「はい!はい!」教師冥利に尽きるとはまさにこのこと。ありがたいことです。

ありがたいことではあるのですけれども、意見を次々と聞いているうちに、教師もパニックになってくることがあります。「あれ、今の子の意見は何が言いたかったんだ?」「意見だと思ったら、この子は質問しているぞ」「今度はさっきの意見への反論だ」「Bに対する意見を言っているの?Dに対する意見?」「まだ手を挙げている子がいる。えーい、とりあえず全員の意見を聞いちゃえ!」……こうなってしまうと、もう授業はコントロールが効かない状況に陥ります。今度は児童(生徒)の頭の中に「?」が浮かび始めます。「あれ、今何について話し合っているの?」「なんか最初の先生の質問から、ずいぶんズレ始めたぞ」「え?なんだかわからなくなってきちゃった!」今度は一転して、シーンとした授業になってしまいます。わりと「研究授業」のような、大勢の先生方が観覧にきてくださっている時にかぎって起きがちな、「あるある」ではないでしょうか。この先生の、何がいけなかったのでしょうか?

1)「あれ、今の子の意見は何が言いたかったんだ?」

授業には、深い教材研究と同時に「授業計画」が必要になりますよね。教師の質問に対して、児童(生徒)が言いそうな意見を可能な限り全てリストアップできていたでしょうか。これができていれば、討論の授業が、余裕を持ってできるようになります。言葉足らずな生徒の意見に対しても「うーん、今の意見は……ということが言いたかったのかな」「そうそう、そう言いたかったんです」という対応ができるようになります。

2)「意見だと思ったら、この子は質問しているぞ」「今度はさっきの意見への反論だ」

 教師がどんな意見を求めているか、最初に示しておけば良いのではないでしょうか。上記の先生は「さあ、意見がある人(班)」と言っていますが、これを「では、賛成意見から聞きましょう。さあ、意見がある人(班)」と言い換えればいいのです。質問や反論を述べ始めたら、「質問(反論)はこの後、まとめて受け付けます。その時発表してもらいますから、覚えていてね。他に賛成意見がある人(班)はいますか」と、整理をしていきます。

3)「Bに対する意見を言っているの?Dに対する意見?」

 意見の発表の仕方のルールを教えれば良いのです。「『私はBに賛成です。その理由は……』のように、先に何を支持するかを述べてから意見を言いなさい」と教えておきます。自分の立場を明確にしてから説明をするということは「発表の方法」として、とても基本的なメソッドです。

 私は、ここからもう一歩先に進めた「交通整理」を行います。A・B・C・D・Eの5つのクライマックスの意見が出た場合、「Bに対する意見が五つ出ましたね。他にありますか。ありませんか。では一旦Bの意見は切ります。他の考えに対する意見はありますか」「はい。Cの意見があります」のように、一つずつまとめて意見を聞いていきます。この方が、授業を受けている子たちの頭の中が整理されていくからです。

 授業は、意見を発表する子たちだけのものではありません。聞いている子たちの頭の中を整理してあげることも大切です。そのためには、授業内の意見の交通整理をすることはとても大切です。そのためには……1)教師の質問に対する児童(生徒)の答えを予め可能な限りリストアップしておく。2)どのような意見を求めているのか最初に示しておく。3)発表の方法を教えること。この三つが、大切なことです。