子供たちと創る想像の世界 ──読みから描画の世界へ

読み研通信70号(2003.1)

本山智子(町田市立忠生第三小学校)

1 お話の世界を子供達と創る

私は一年生を持つと、大抵二学期に同学年の先生に同意をいただいて、次の実践を行う。国語から図工への発展的授業である。ウクライナ民話「てぶくろ」のお話は、冬の森で犬を連れたおじいさんが、てぶくろを落として行ってしまうところから始まる。そのてぶくろの中に、次々に、くいしんぼうねずみやはやあしうさぎ、ぴょんぴょんがえる、おしゃれぎつね、きばもちいのしし、のっそりぐまが入って、一緒に暮らそうとする。「ぼくもいれてよ。」「どうぞ。」といったせりふを通して、どうぶつたちの優しい交流が映し出される。このお話を、まず教師が読みきかせをする。ゆったりと、お話の世界を朗読する。この時期の子供達は、本の読み聞かせは、大好きである。真剣そのもので聞き入ること待ちがいなしである。その後、真っ白な、模造紙を黒板に貼り、子供達と問答しながら、お話世界を膨らませていく。T「このお話の場所は、どこ?」C「森」T「森って、林とどこがちがうの?」C「森は空から見ると木が繋がっているけれど、林は繋がっていないんだよ。」T「てぶくろはどんなかな?」C「ふわふわで、うんとあったかいよ。」C「中にはね、ストーブもあるよ。」C「おうちの中みたいになっていて、あったかいお料理もテーブルの上にのってるよ。」T「おしゃれぎつねってどんなようす?」C「女の人でね、長いスカートをはいていてね:」etc子供達と一緒にてぶくろの世界を創っていく。いよいよ図工の時間。マーメイド紙といって、いくらかでこぼこで、うすむらさきの用紙に、鉛筆で下書きをして行く。たっぷり時間をかける。子供達は、たくさんの世界を描き始める。てぶくろの中は、電気があったり、テーブルがあって、温かい食べ物がのっていたり、動物たちも楽しく表現する。いよいよ絵の具で塗り始める。細い小筆で精密に描くように指導する。一人一人が違っていて、一人一人がたくさんの世界を持った絵ができあがる。子供達との対話を通してたっぷりと、一緒の世界を創り上げていくと、子供達はかならず楽しい世界を描き上げる。子供達の心が柔軟であること、一人一人が豊かな想像の世界をもっていることを、この実践を通して再確認している。

2 音読の世界を広げる

一年生も二学期に入ると、物語を文として読み始める。まだ拾い読みから抜けきれない子、声が小さくて聞き取れない子等等、様々である。そこで、音読カードの登場ということになる。何しろこの時期の子は、みんなに聞いてもらい、ほめてもらうことが大好きだ。親の前で頑張って読み、励まされることで、自信を持ち始めて上達していく側面が大きい。
次に私は、グループで読むことを始める。最初は二人で、「丸読み」を交互にする。やがて、班ごとのグループ読みに挑戦する。「おおきなかぶ」を、「丸読み」でやってみた。四~六人位のグループが丁度良い。丸く円陣を組んで、「おせんべやけたかな」等の手遊び感覚でやってみる。読みに慣れてくると、リズミカルに楽しく音読ができるようになる。そして、音読発表会をやる。緊張する場合もあるが、どのグループも楽しくみんなの前で発表できるようになる。そして、できれば役割分担をして劇につなげていく。子供達はうまく自分たちで、役決めができるようになって、それぞれ個性あふれる楽しい劇を披露することができた。心と身体を開き、国語が好きになる。

プロフィール

「読み」の授業研究会
「読み」の授業研究会(読み研)
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