福岡・八女サークル1月例会の報告と2月例会のご案内

1.1月例会の報告

(1)参加者 7名
(2)日 時  1月17日(土)14:00~17:00
(3)場 所  八女市西公民館
(4)内容(概要)
 ① 詩「大阿蘇」(三好達治)(中2)
詩の「構造よみ」「技法よみ」を通してこの詩の主題をとらえました。「構造よみ」では「起承転結」の「転はどこか」を手がかりに読みますが、この詩の場合はいわゆる「大きく転換」している内容がとらえにくいということが話題になりました。「起」には近景である雨や馬の様子が静的に描かれ、「承」では遠景である山や噴煙や雨雲という自然の様子が動的に描かれています。その「起・承」をふまえて再び目を近景に転じたとき、話者はいつまでも草をたべ静かに立ち続けている馬の様子を認めるのです。その「転」の馬の描写は「起」の描写とは違っています。話者は悠久の世界の雄大な阿蘇の自然の中で生かされている存在として馬の様子をとらえていることが、20行目の「もしも百年がこの一瞬の間にたったとしてもなんの不思議もないだろう」から分かります。そこで「転」は14~20行であると考えました。「結」は「全体をまとめ結ぶ」のですが、なぜ雨の描写が全体をまとめていると言えるのかの論議では、雨がそれまでの「起・承・転」で描いてきた情景(全景)を覆い尽くしている、「雨が・・・雨が・・・」と「が」を二度もくり返して強調している、雨のから始まっている「起」と対応している等の意見が出ました。叙景詩でもあり、一読ではなかなか主題がとらえにくい詩ですが、構造や技法をとらえることで深く読むことができることを改めて実感しました。
②論説文「モアイは語るー地球の未来」(中2)
 「論理よみ」「吟味よみ」をしました。「柱の段落」「柱の文」をさがしながら要約文を確認し、要約文相互の論理関係をとらえて要旨をまとめました。
「吟味よみ」についても確認しました。「評価的吟味」のひとつでは、前文(序論)に述べられる4つの項目の順に本論で詳しく述べられているのでわかりやすいということです。「評価的吟味」をすることは、もう一度この文章をとらえる視点をもてることを確認することができました。「批判的吟味」については今後の課題としました。
③小説「こころ」(夏目漱石)(高2)
教科書には長い小説の一部が掲載されている教材がありますが、その場合の「構造よみ」の指導について考えました。「こころ」は、「上 先生と私」「中 両親と私」「下先生と遺書」の三編から成り、ここでは「下 先生と遺書」の一部が採られています。
まずは読むことからと教科書33頁分をみんなで輪読しました。時間が来たので構造よみまではできなかったのですが、夏目漱石の鋭い人間洞察や情景描写の的確な文章を音読して、漱石文学を堪能することができました。指導については今後の課題とします。

2.2月例会のご案内
┌─────────────────────────────────────┐ 
│(1)日 時 2月8日(日) 14:00~17:00 │
│ │
│(2)場 所 「おりなす八女」 第5研修室 │
│ ℡ 0943-23-2131 │
│ │
│(3)内 容(予定) 参加者の持ち込んだ課題を中心に │
└─────────────────────────────────────┘ 
                 連絡先:熊添 (八女市立黒木中学校)

プロフィール

「読み」の授業研究会
「読み」の授業研究会(読み研)
「読み」の授業研究会は、子どもたちに深く豊かな国語の力を身につけさせるための方法を体系的に解明している国語科の研究会です。
2021年に設立35年を迎えました。