第8回関西サークル例会報告(2007.9.22 大阪)

 今回取り扱う教材が全て高校教材であったにもかかわらず、小中の教員も含め11名の参加者で充実した研究会となりました。
 最初に、高槻中学高等学校の竹田博雄先生の分析報告「こころの情報学」(高校1年評論・西垣通)を検討しました。全体の分析後、ビデオに収録された授業も視聴し、竹田先生の熱意が感じ取れる内容でした。主に「論理読み」「吟味読み」について、指導事項の精選や吟味する箇所の是非を視点に議論を深めました。

 次に、立命館宇治中学高等学校の稲田祥子先生から、「自然と人間の関係をとおして考える」(高校1年評論・内山節)の分析提案がなされました。この作品は、雑誌に掲載されたものを教科書用に編集し直したものですが、雑誌にはない行空きをどう読むかという点や、前文や後文はどこを受けているのかなど「構造読み」に議論が集中しました。

 両報告の分析を通して、「構造」「論理」「吟味」という説明的文章の読み方が学べた研究会でした。

 また、当日、偶然読み研HPを検索され、初めて例会に参加された小学校の先生もいらっしゃいました。読み研の研究・実践活動の広がりを感じました。以下、参加者の感想を紹介します。

○関西サークルには初めての参加でしたが、夏の大会のように大規模な会とは違い、意見の言いやすい雰囲気で、私も意見を述べさせていただいて考えを深められたことはとても有意義でした。また、先生方の意見は的を射たものが多く、そのたびに「ふむふむ」と納得しながら聞かせていただき、その意見がまた別の方に批評されたりすると、また「なるほど、そうか」とどんどん読みが深まっていくことを実感し、自分の中でも何度も批判的に読みを深めることの重要性を認識しました。お二方の発表も良かったと思います。

○今日はありがとうございました。「国語がよくわからない」と悩んで、初めて参加させていただきました。議論の中身がとても難しくて、ほとんど理解できませんでしたが、先生方がサラリと読まれただけで分かりにくいところ、大切な言葉、文の作り方などを指摘されていることに驚きました。授業の実際ということのイメージはわきにくかったのですが、教材を読みとっていくおもしろさを教えていただきました。また参加させていただけたらと思います。

○高校の説明的文章について、具体的に考えることができて大変勉強になりました。また、普段中学校で教えている子どもたちが、高校生になってこのような教材に向かうのだと思うと、「つけておくべき力」は何なのかなと考えながら聞いていました。構造については単純にとらえていたのが 、みなさんお話をお聞きしているうちに奥行きが見えてきて楽しかったです。最近、「吟味」の芽(目ではなく)が自分の中に出てきて、まだまだ間違った方向に伸びていったりもしていますが、これからも育ててやりたいと思っています。

○例会に参加させていただいて二回目ですが、毎回豊かな読みを味わうことができて、勉強になりました。一人で教材研究するより、議論をしていく方が読みが深まることを実感しました。今日は高校教材でしたが、小中学校の教材でも活用できると思いました。冬の研究会も楽しみにしています。大阪でしていただけてありがたいです。事務局の方もお世話が大変だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

プロフィール

「読み」の授業研究会
「読み」の授業研究会(読み研)
「読み」の授業研究会は、子どもたちに深く豊かな国語の力を身につけさせるための方法を体系的に解明している国語科の研究会です。
2021年に設立35年を迎えました。