第9回関西サークル例会報告(2007.11.17 大阪)

 11月17日に9回目の例会をもちました。参加者は7名でしたが、関西サークルが少しずつ定着してきていることを実感できる内容でした。神戸の永田彰さんと加藤で『白いぼうし』の実践と教材研究の報告、豊中の児玉健太郎さんから中学の説明文『メディア・リテラシー』の実践報告、以上の2本立てでした。

『白いぼうし』では、クライマックスをどこと考えるかをめぐって議論がなされました。永田さんの実践では、子どもたちの多くが次のあたりをクライマックスと考えたといいます。

松井さんはあわてました。バックミラーには、だれもうつっていません。ふり返っても、だれもいません。

 車に乗せた女の子がいなくなって、松井さんがあわてる場面です。ちなみに、読み研の定説化シリーズもここをクライマックスとしています。
加藤は、次の箇所をクライマックスと考えました。

「よかったね。」「よかったよ。」「よかったね。」「よかったよ。」

 松井さんの車に乗っていた女の子がいなくなり、外を見ると白いちょうがたくさん飛んでいます。そして「松井さんには、こんな声が聞こえてきました。」とあって前記の箇所となります。
『白いぼうし』の女の子をめぐっては、「女の子=ちょう」と考えるかどうか教材研究の上でも大きく分かれるようです。議論はその点を中心に展開されました。

『メディア・リテラシー』は三省堂の中学3年生の教材です。児玉さんは、週の初めに行った研究授業をビデオにとり、まずはそれを見せてもらいました。人が授業している場面というのは、なかなか見る機会がないだけに、こうやってビデオでも見せてもらえることはとても参考になるし、興味深いものです。授業は構造よみを終えた後の、本文?の論理よみでした。班を使いながら、生徒たちに柱の段落を考えさせます。結果、柱の段落をめぐっては3つの意見が出されました。それをうけて、さらには段落相互の関係をとらえることへと授業は展開していきました。
 議論は、主としてそこでの授業展開のあり方をめぐってなされました。論理よみにおける授業展開のあり方を考える上でも、興味深い実践でした。(文責 加藤郁夫)

 以下に参加者の感想を載せます。
◆ 説明的文章では、中学校の実践をVTRにて見ることができ、よかった。柱の段落や論理よみ、吟味よみについても、どのように指導すればよいかがわかったので、早速実践したいと思う。
◆ 中学校の授業では、班の人数をよく考えておられると思った。本日取り上げられた教材は、元の文とは違っていて分かりにくくなっているので、指導しにくいなと思った。短い時間で読み取りや話し合いができているので、それまでの積み上げがよくできているなと思った。扱う教材に元の文章がある場合は、それを読んでおけば分析がしやすいと思った。
◆ 例会に参加させていただいて3回目になります。少しずつですが、読み研の考え方がわかりかけてきました。今日は研究授業のビデオまで拝見させていただいて、日ごろの読み権方式の授業で生徒たちの力が鍛えられていることがわかりました。なかなか忙しくて読み件の理論を本で読んで勉強できなくて、実際に実践するところまではできていませんが、例会や大会で学んだことを少しずつでも実践していけたらいいなと思っています。
◆ 永田先生の実践報告では、クライマックスの部分が二つ出されたことで『白いぼうし』という物語についてよく理解できたように思います。班で討論したり、友達と一緒に勉強することが、文章についてより理解するすばらしい方法なのだなと実感しました。児玉先生の実践報告では、ビデオも見せていただいて、中学校での授業の様子がよくわかりました。接続詞に着目することでも文章関係を読み取っていくことができるのだと新たに教えていただけました。読み研は二回目ですが、今回もとっても勉強になりました。
◆ 児玉先生の授業は大変面白く、非常に勉強になりました。生徒たちのレベルの高さもさることながら、読み研の説明文の授業をライブで見たのも初めてでしたので、とても楽しく興奮しました。自分でもこうしてみよう、ああしてみようという意欲がわいてきます。少しずつですが読み研の方法というのが、自分にわかりかけ身についてきているのを感じ始めています。
◆ 説明文の授業は苦手で、一年間の中でも授業で取り上げる割合が少ない。今回思い切って研究授業で行った内容を発表させてもらったが、たくさんの意見をいただいて勉強になった。その教材で教えるべき読み方をしっかり選んで、授業を組み立てることの大切さが確認できた。授業展開についても違った展開方法を示していただき、今後の授業改善に生かせるものとなった。

プロフィール

「読み」の授業研究会
「読み」の授業研究会(読み研)
「読み」の授業研究会は、子どもたちに深く豊かな国語の力を身につけさせるための方法を体系的に解明している国語科の研究会です。
2021年に設立35年を迎えました。