【国語授業実践講座Q&A 】読み研の先生方は「書くこと」の指導、「話すこと」の指導をどのように行なっていますか。
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先生方の実践について、教えてください。読み研の先生方は「書く」ことの指導、「話す」ことの指導をどのように行なっていますか。
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回答者:鈴野 高志(つくば)
私たちは「読み」の授業の中で、書くことや話すことに必要な事項をたくさん教えていきます。例えば説明的文章の授業は次のように進めていきます。
- ①構造よみ
- 文章全体をまず「序論(はじめ)」「本論(なか)」「結び(おわり)」という3つの部分に分けるところから始めます。次に必要に応じて「本論(なか)」をいくつかの部分に分けます。序論には導入的な内容や全体に関わる問題提示などが書かれています。本論では序論に対応した詳しい内容が述べられます。結びでは本論で書かれていたことのまとめや最終的な結論などが書かれています。
- ②論理よみ
- 構造よみで分けた1つ1つの部分の中で、柱の段落や文(それがないと文章が成り立たなくなる部分)と、それ以外の段落や文との関係について考えます。すると、柱の段落や文に対して、それ以外の段落や文が、例や理由や説明を加えることによって支えている関係にあることが見えてきます。また、文章の要約が必要な場合は主に柱の段落や文をまとめれば、要約文や要旨を作ることができます。
- ③吟味よみ
- 構造よみや論理よみをふまえ、その文章の評価や批判をします。例えば序論に対して本論は対応した内容になっているか、結びでは本論で述べられていたことがしっかりまとめられているか、柱以外の段落や文に書かれている事柄は、柱をしっかり支えているか(説得力のある材料が用いられているか)、不十分さはないか、別の可能性は考えられないか、図表などがあればそれらはわかりやすく適切に用いられているか――等々です。
これらを「読み」の過程で学ぶことで、子どもたちは自分が書く立場、話す立場に置かれたときに、全体の構造や、主張したいこととそれをどのような根拠によって支えるかなどについて意識して考えられるようになります。特に小論文(意見文)やプレゼンテーションなどの指導では、上に挙げた「読み」の授業で学んだことがしっかり生かされます。
また、例えば構造よみで「序論はどこまでか」を個人で考えたのち、グループで、クラス全体でと発展的に議論していく過程で、子どもたちは書かれている文章の中から明確に根拠を挙げながら発言する方法を身につけていきます。それがやがては自分で何かを調べて発表するときや、意見を文章化するときなどに生きてきます。特に吟味よみを経験した子どもは、自分が書いていることに対して「こんな指摘が出るかもしれないな」といったような批判的な視点を持ちながら書けるようになるので、より精度の高い文章が書けるようになっていくわけです。最近特に機会が多くなったスピーチなどの発表でもそれらは同じように生きてきます。
ですから、私たちは決して「読むこと」ばかりで「書くこと」や「話すこと」の指導をしないのではなく、「読み」の授業を通して身についた方法、力を「書くこと」「話すこと」に生かす方向で指導をしているのです。
プロフィール
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筑波大学日本語・日本文化学類卒業 同大学院教育研究科修了
茗溪学園中学校高等学校教諭/立教大学兼任講師
[専門]日本語文法教育
[趣味]落語
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