絵本の楽しさ

 今年、小学2年生の国語を教えています。学年の目標に、「読書に親しみ、本をたくさん読む子ども」を掲げており、できるだけ読み聞かせを行おうと話し合いました。私は週に1回(約10分くらい)は「絵本の読み聞かせ」を取り入れて(目標1年間で50冊)、本に親しみ、読書好きな子どもになってほしいと思い実践しています。
 読み聞かせを始めて、子どもの反応を見ながら気づいたことがあります。子どもが喜ぶ絵本には、共通の理由があるみたいです。

1 絵そのものが魅力的! 絵本はこれが一番!


 小さな子どもは、文字が読めません。絵本の何が子どもを惹きつけるのでしょうか。それは、やはり絵です。表紙の絵を見て「きれい!」「面白そう!」と本を選びます。色も関係あるみたいです。経験からいうと、黄色や赤色の絵本が人気あるみたいです。
〇長谷川義史さんの絵本
 とにかく絵が面白い、思わず笑顔になります。登場するしげちゃんに親しみを覚えます。子どもたちは『串かつやよし子さん』が特に好きです。

2 紙芝居のように、次のページをめくる楽しみがある。絵本は基本的にこれが多い。


〇『おひげおひげ』
 ねことおじいさんのひげを見たゆうくんが「ぼくもひげがほしいなあ」と言うと、なんと鼻の下にひげが生えてきました。今度は家が「おいらもひげがほしいな」と言うと、2階の窓の下からひげが!…女の子、おばあさん、山、ひよこ、いろんなところにひげが、ページをめくるたびにどんどん生えてきます。

3 ストーリーが面白い(起・承・転・結がはっきりしている)。

次はどうなるのか、ハラハラドキドキする絵本や、めでたしめでたしの勧善懲悪的なストーリーも、子どもは大好き。

4 くり返しが面白い


〇『だんごどっこいしょ』
 ぐつという男の子が、遠くのおばさんのおうちでごちそうになった「だんご」がおいしく、名前を忘れないように「だんご、だんご、だんご」と言いながら帰る話です。子どもたちも一緒に声をそろえて読み出します。
〇『おかえし』
 子どもたちは、「おかえしのおかえしの…」と「おかえし」がどんどん続いていく面白さを覚え、「おかえし」の数を数えながら、先生と一緒に読みます。

5 常識とは違う面白さがある(悪が善、善が悪)


 子どもたちは、自分なりに善悪などの価値観を持っていますが、違う価値観に出会うと「えっ、どうして?」「違うんじゃないの?」とびっくりし、それが面白さにつながります。
〇『ずっとずっといっしょだよ』
 ずっとひとりぼっちだったティラノサウルスの前に、ある日、空からプテラノドンの女の子プノンがまいおりてきました。いっしょにいたい――。でも恐竜って鳥を食べるんじゃなかったの? はたして二人は…。
〇『このほんよんでくれ!』
 ベンチで父親が娘に絵本を読むのを聞いていたオオカミ。続きが知りたくて、偶然手に入れた絵本を読もうとしますが、オオカミは字が読めません。そこで、森の動物に読んでくれるよう頼むのですが、オオカミのことが怖い森の動物たちは…。

6 失敗(間違い)が面白い


〇『モジャキのくすり』
 ゴリラのモジャキの楽しみは、自分の鼻くそを食べること。ところがある晩、それをフクロウに見られて…。
〇『ぼんぞうののぞきだま』
 ニセの占い師になったたぬきのぼんぞうは、「のぞきだま」をのぞき込み、みんなの困りごとを占いますが、そのうそがばれて…。

7 子ども自身が絵本の主人公になる


 子どもが絵本の中に入り込んでしまい、自分がその絵本の主人公になってしまいます。そして自分なりのストーリーを作り上げます。そのため、自分がイメージしていないストーリーになると、「えー?そうじゃない!」「ダメッ、違う!」と口々に言い出します。

*まだまだありそうです。読み聞かせをするために、まず自分が、図書室の絵本を片っ端から読んで、面白い絵本をたくさん見つけることができたことが、一番の収獲でした。