『詩の世界』( 光村図書・中学1 年) の教材研究

『詩の世界』( 光村図書・中学1 年) の教材研究

武田 正道

~ 「構造よみ」と表現技法から読み深める~

  光村図書の国語教科書では、中学に入って初めて学ぶ教材が『野原はうたう』( 工藤直子) という詩の教材(「のはらうた」収録の「あしたこそ」( たんぽぽはるか)、「おれはかまきり」( かまきりりゅうじ)、「あきのひ」( のぎくみちこ)、「いのち」( けやきだいさく))です。

 「指導書」には、「教材提出の意図」として、「国語学習の楽しさを味わう」「それぞれの詩に描かれた世界を読み取り、音読する」とあり、「気持ちが伝わるように、声に出して読む」とあります。生徒に、「小学校で習ったやり方で、この詩を読み深めてみよう」と提案してみますが、「どうやったか覚えていない」「やり方が分からない」という声が圧倒的です。そこで、「詩の読み取り方には良い方法があるよ」と言って、以下のことを伝えました。
 ・詩は『起承転結』の『構造』からできていること。
 ・「転」「結」、「題名」から詩の主題を読みとること。
 ・使われている表現技法( レトリック) がわかり、なぜその表現技法が使われ、どういう表現効果をあげて  いるのか考えること。
 ・この詩の表現の仕方で、良いと思うこと、もっとこうした方が良いと思うことをあげること。

 『のはらうた』では、あまり詳しくはできないので
 ①「連」を手がかりに「起承転結」に分けること
 ②「表現技法」の資料をもとに、表現技法を見つけること、
 ③ 作者がこの詩で言いたいことは何かを考えること を詩に即して追究してみました。

 詩の読み取り方を学び、『のはらうた』で追究を経験した生徒は、『詩の世界』(「てがみ」( 寺山司)、「太陽」( 八木重吉)、「魚と空」( 木坂涼)) で、自分たちの力で追究してみようとします。追究をしやすくするために、
 ① 表現技法を探す
 ② 「起承転結」に分けて見る
 ③ 作者が言いたいことを考える  という進め方で実践してみました。

プロフィール

「読み」の授業研究会
「読み」の授業研究会(読み研)
「読み」の授業研究会は、子どもたちに深く豊かな国語の力を身につけさせるための方法を体系的に解明している国語科の研究会です。
2021年に設立35年を迎えました。