第16回高等学校部会報告(2008.2.23-24 長野市)
雪の降る中42名の参加者、熱い実りある研究会
湯原定男(岐阜・多治見西高校)
2月23日(土)・24日(日)の両日、長野市生涯学習センターにおいて、第16回高校部会が開かれました。雪にもかかわらず、地元長野の先生を始め、遠くは青森や東京、兵庫などから合計42名の方が参加されました。
また、この度の開催にあたり、長野県教育委員会・長野市教育委員会から後援をいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
今回の高校部会では、読み研事務局長加藤による説明的文章、運営委員湯原による文学的文章の読み方入門講座、そして、地元長野県のお二人の先生に模擬授業をしていただきました。
長野県飯田風越高校酒井陽子先生の模擬授業は、宮沢賢治「なめとこ山の熊」。
展開部の形象読みで、熊獲りの小十郎が、熊から自分を殺す理由を真正面から問われることで、むしろ熊と立場が同化し、同じ命あるものとして向かい合うようになり、かつそのために苦悩が深まる過程を読み取る授業でした。
丁寧な教材研究をもとに、やわらかくかつさわやかな語り口の授業で、生徒役からは活発な意見がだされました。とくに助詞「も」から読み取れることは何かについて、この作品のテーマにむすびついた発言が相次ぎ、深い読みにつながりました。酒井さんは授業後、こんな優秀な生徒を相手に楽しかったこと、教材研究とともに、発問をどうするかが重要な課題だと感想を述べられました。
長野県坂城高校小山洋一先生には平家物語より「木曾殿の最期」。
木曾義仲の死が「今井がおぼつかなさに」という友の安否を気遣うという人間的な感情によってもたらされるという悲劇性を読み取る意欲的な内容でした。義仲と今井の人物形象を丁寧に読み取っていく授業で、「古典はやはり読める」と感じることがでる授業でした。
この教材のキーになる言葉「おぼつかなし」(きがかりだ)に着目することでこの教材を読み深めることができたが、こうしたキーになる言葉をどう見つけるのか、その方法も今後の研究課題だと感じました。また古典では一つ一つの形象を読み深めるためには時代的な知識も必要で、専門家との連携、共同研究の必要性も大いにあると思われます。
〈参加者の感想〉
・自由に意見を言える雰囲気、本音を出せることがとても嬉しい。教材研究の楽しさを味合わせていただきました。
・教材研究は授業をどのような視点で捉え、実践していけばよいかがわかり、大変参考になった。
・東北地方で実施してもらえると嬉しいです。
・盛りだくさんの内容で、充実した二日間でした。
・作品についてさまざまな発見ができました。
最後になりましたが、この研究会を成功させるために中心となっていただいた小山洋一先生、そして酒井陽子先生、またご協力いただいた地元長野の先生方に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
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