第9回九州大会報告(2005.12.10 八女市)

確かな学びを求めて32名が集う

内藤賢司(読み研八女サークル代表)

 第9回九州「読み研」大会が、12月10日(土)、福岡県八女市の地において行われた。参加者は、講師の加藤郁夫さんも含めて32名。小学校12名、中学校18名、その他2名(講師と出版社の方)であった。成績の締め切り時期にもかかわらずこれだけの参加者があったということは、確かな読みを追究したいという学びへの要求の高さを示している。また、中学校教師の参加が小学校教師よりも多かったということにも注目したい。今、中学校の国語の授業現場は大変な状況ではないかと思う。学力向上が叫ばれつつも、授業時数は減り、生徒たちは学びから撤退しているといった状況があるからである。
 午前中は「空中ブランコ乗りのキキ」(中1・三省堂)を使って小説の読み方を、午後からは「サクラソウとトラマルハナバチ」(小5・光村)を使って説明的文章の読み方を、途中休憩なしで学び合った。あっという間の時間が経過してしまったという印象である。それだけ、学習が充実していたということである。講師の加藤さんには、ほぼ5時間という時間を一人で担っていただき、私たちの学びを保障していただいた。
 参加者の感想をいくつか紹介したい。

○小学校の教科の中で、国語ほど教師の力量で授業が変わるものはないと思っております。私自身、小中高といろいろな作品と出会ってきました。しかし、国語の授業で何を学んだか、それが分からないのです。そして、私も今までそのような授業しかしてきていません。今日の学習で、文学的文章・説明的文章の読み方が少し分かった気がします。まずは教材研究を今日学んだ手法でやってみたいと思います。これからサークルにぜひ参加し、学習したいと思います。(小学校)

○初参加でした。時間を忘れて読み考えました。間違ったり迷ったりすることに価値があるんだということも今日は感じました。発言のチャンスを多く与えていただいたことも嬉しかったです。ありがとうございました。(中学校)

○日常の勉強不足を痛感。忙しい、時間がないと逃げるのではなく、自分で時間を作って足を運ぶことが必要ですね。やはり、もっと「読み研」でしっかり勉強したいと思った。「読解力の低下」とよく耳にする。子どもたちの生きる力を高めるためにも、読みの力をしっかりつけさせていきたい。そのためにも「読み研」の学び方を子どもたちに学ばせていきたい。(中学校)

 このように、「読み研」への期待が高まっていることを実感する。「九州読み研大会」をもってよかったと、今つくづく思う。静かではあるが、もっと学びたい、確かな学びをしたいという要求が熱く広がっていることを確認した大会であった。九州は静かに燃えているのである。
 講師の加藤郁夫さん、すばらしい時間を作ってくださってありがとうございました。

プロフィール

「読み」の授業研究会
「読み」の授業研究会(読み研)
「読み」の授業研究会は、子どもたちに深く豊かな国語の力を身につけさせるための方法を体系的に解明している国語科の研究会です。
2021年に設立35年を迎えました。