全国学力調査問題の検討 1 

2018年小学・国語A 問題2の検討

はじめに ―全国学力調査問題を検討する意味

全国学力調査は2007年から始まったが、問題自体の検討はあまり行われていないように思われる。毎年、秋にその結果が発表され、都道府県別の順位が示される。ところによっては、学校の成績を公表するような動きもある。そのような結果の公表が、現場への圧力となっていることは確かであろう。昨年末、福井県では池田町で起きた中学生の自死事件を受けて「福井県の教育行政の根本的見直しを求める意見書」が県議会で可決された。そこには以下のような文言がある。

池田中学校の事件について、学校の対応が問題とされた背景には、学力を求めるあまりの業務多忙もしくは教育目的を取り違えることにより、教員が子どもたちに適切に対応する精神的なゆとりを失っている状況があったのではないかと懸念するものである。
このような状況は池田町だけにとどまらず、「学力日本一」を維持することが本県全域において教育現場に無言のプレッシャーを与え、教員、生徒双方のストレスの要因となっていると考える。

 学力調査が、現場のプレッシャーになっていることを県議会が認めたのである。
 この文章では、その学力調査の問題そのものを検討していこうと考える。「学力調査」といいながら、問題そのものが「調査」にふさわしいものになりえているのかどうか、疑問があるからである。
 歪んだものさしで測ったところで、正確な数値は求められない。学力調査自体が、歪んだものであるならば、その結果に振り回されている現場は悲惨である。
改めて全国学力調査の目的を確認しておこう。文科省HPには調査の目的が次のように述べられている。

・義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。 
・そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。 
・学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
 
以下PDFでご覧ください(問題もPDFで示しています)