私が授業の中で意識して使う「言葉」〈その2〉

読み研通信73号(2003.10)

 前回の通信でも、私が授業の中でよく使っている「言葉」を四点ほど載せました。きっと多くの先生方がそういった言葉をお持ちなのではないかと思います。「発問の仕方を変えたとき、授業内容がぐっと深まった。」「こういう言い方をしたとき、授業の集中度が増した。」等など。こういった経験を持ち寄って交流しあうことは大切なことなのではないかと、考えています。
 もともと、「読み研」の授業形態は、生徒が発言したり討論したりするのに適しているとよく言われます。私もその事実は、実際に自分がやってみて実感しています。ただ世間一般的には、「小学生には(中学生には)(高校生には)授業の中で討論などさせるのは無理だ。」「せいぜいディベートが精一杯だ。」「最近の子供達は質が変ってきている。昔のようにはできない。」といった声が多く聞かれ、討論させる(発言させる)授業が敬遠される傾向にあります。「読み研」方式を広めるためには、教材分析だけではなく、「確かにこういう言い方をすれば、討論もできそうだ。」という「授業技術」の交流・検討も必要ではないかと考えます。
この通信がそういう場になればいいなと思います。皆さんの「言葉」もお寄せください。とりあえず引き続き、私からいくつか提案させていただきます。

「違う。」「残念でした。」「先生はそう読まない。だって、・・・と書いてあるでしょ。」「そうではないよ。理由がわかる人いる?」

 明らかに誤った答えに対しては、誤っているとはっきりさせたほうがいいと思うのです。国語という教科の特質から「せっかくクラスの生徒の前で意見を出してくれたのに、否定したらかわいそうだ。」とつい考えたくなるのも人情ですが、誤った答えに対しては私は「違う」とばっさり明るく言います。
「うーん、いいんだけどねえ・・・。」「・・・そういう考え方もありますねえ。」「なるほど・・・。」「違う考え方はないかな。」といった、歯切れの悪い評価は、合っているのかいないのかがわかりません。また、正しく考える生徒のやる気をそいでしまうことになりかねません。

「するどい!」「いいねえ!」「よくそこまで読み取った。」「素晴らしい読みだ。」「びっくりした。」

 逆に、いい答えをしたときには、授業を受けている子供達全員にわかるようなはっきりとした評価にするようにしています。少々オーバーなくらいのほうが、読み取っていく意欲を高めていくように思います。

「前回の授業では〇班の意見がすばらしかったね。」「〇班、冴えていたね。班長がよく話し合いをリードしていたのがよかったんだね。」「〇班、今日は発言できるように頑張ろう。最初に発言権あげるから、よく考えてな。」

 授業の最初で、前時の復習とともに、前時の班討議の評価を簡単に加えます。なぜその班が評価されるのか、またなぜ上手くいったのかを、全体に話します。
 教師が、いかに自分たち生徒をしっかり見ているか、そしてそのことを覚えているかということを伝えることで、安心感・信頼感を高めるられると同時に、班毎の対抗意識も高められます。