第10回九州大会報告(2008.3.29 八女市)
学びの喜びを体感した一日
内藤賢司(読み研八女サークル代表)
第10回九州読み研大会は、3月29日(土)、福岡県八女市中央公民館で実施。52名の参加者を得、盛会裡に終了することができた。学び合う喜びを互いに体感した一日であった。今回も、前回に引き続き、読み研の事務局長・加藤郁夫さんに学習の全てを担当していただいた。
参加者は、52名であった。これは前回の九州大会(2005年12月)の32名を20名も上回る数字である。読み研への期待が広がっていることが伺える。
学習は二つであった。午前中は、確かな「読解力」を保障する説明的文章の授業づくり――「論理関係をつかむ力」「評価・吟味する力」を中心に。午後からは、確かな「読解力」を保障する物語・小説の授業づくり――「読むべき部分を発見する力」を中心に。教材は、それぞれ小6「生き物はつながりの中に」(中村桂子/光村図書)と中1「トロッコ」(芥川龍之介/三省堂)を使用。
「構造よみ」では、どちらの学習でも論争があり、学び合うことの楽しさを実感した。
説明文における「吟味読み」では、許容できるのではないかという意見と、飛躍・ズレがあるという意見とに分かれた。吟味読みについての理解はまだ現場では弱いと感じさせられた。
「トロッコ」における「形象読み」では、形象読みのやり方が分かったという声を多く聞くことができた。ただ、線引きについてそれを実践としてどう展開するかということについては、課題として残ったと思う。
「読解力」の育成は、現在の国語教育界の大きな課題となっている。「読解力」を身につけさせるための具体的で有効な方法は、現場ではまだよくわかっていないというのが実情である。それを具体的に提起している「読み研」は、今まさに出番であるという思いを、今回の熱い学習の中で感じさせられた。
最後に、5時間にわたって学びを保障していただいた加藤郁夫さん、先生の実践家としての懐の深さには感服いたしました。ありがとうございました。
参加者の感想から
・大変おもしろい研究会でした。養護学校から久しぶりに国語の教師に戻ってとまどっていますが、具体的な内容でとても参考になりました。国語の教材研究は苦しいばかりと思っていましたが、楽しいものだと久しぶりに思いました。
・説明文・文学作品の読みの糸口を実践を交えて示してもらいました。小集団を活用すること(やり方)も具体的に教わり、ありがとうございました。読ませたい部分(表現)をどう読ませるか、やり取りの姿も見せてもらいました。
・初めて参加させていただきましたが、具体的な説明がとてもわかりやすくメモばかりしながら、目と耳と脳をフルに使って……意欲が刺激されました。お世話いただいた先生方、そして加藤先生、心からお礼申し上げます。ありがとうございました。
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