【国語授業実践講座 Q&A】読み研方式で授業した場合、どのようなテスト問題を出しているのですか。

読み研方式で授業した場合、どのようなテスト問題を出しているのですか。

 子どもたちが読み研の三読法を学習したばかりの段階では、その定着を図るために、かなり「ベタ」な出題をすることがあります。例えば物語・小説の構造表を提示し、「発端」「クライマックス」「展開部」などの用語を空欄にして埋めさせる、などです。また、「この作品の『発端』はどこですか。その始まりの五字を抜き出しなさい。」とか、「『クライマックス』が――線部③になる理由をわかりやすく説明しなさい。」といったやはり「ベタ」な出題も行います。

 しかし、いつまでもそのような出題ばかりでは、授業内容の暗記のテストにもなりかねませんし、一般的な入試問題や模試、あるいは市販の問題集の問題などとはずいぶん傾向が変わってしまうことになります。そこで、三読法が定着してきた段階になったら、かなり一般を意識した出題のしかたに変えていきます。特に「形象よみ」で読んだ内容は、出題の段階で一般的な設問の文言を用いるような対応が可能です。以下に、実際に読み研方式で中1「オツベルと象」の授業を行ったのち、定期テストで出題した問題の例を挙げておきます。

問6.――線部④「並んだ機械の後ろの方で、ポケットに手を入れ」ていた「オツベル」が、――線部⑤「奥の薄暗い所で両手をポケットから出し」たことから読み取れる「オツベル」の性格を表した言葉としてふさわしいものを次から二つ選んで記号で答えなさい。

   ア.勇気がある  イ.計算高い  ウ.思いやりがある  エ.見栄っ張り  オ.のんき

問7.「第二日曜」の場面で「白象」は、「オツベル」が提示する「時計」や「鎖」や「靴」などについて、初めは「いらないよ」「履かないよ」と断りつつも、結局言うとおりにして「なかなかいいね」と答えてしまう。これらのやりとりから見られる「白象」の性格を、特に「白」という色が持っているイメージと関わらせて説明しなさい。

プロフィール

鈴野 高志
鈴野 高志「読み」の授業研究会 運営委員/つくばサークル
筑波大学日本語・日本文化学類卒業 同大学院教育研究科修了
茗溪学園中学校高等学校教諭/立教大学兼任講師
[専門]日本語文法教育
[趣味]落語