夏の大会を迎えるにあたって
「読み」の授業研究会(読み研)2017年夏の大会は、「『主体的・対話的で深い学び』を国語の授業でどう実現するか―『言語活動』を生かしながら確かな学力を育てる」をテーマとして研究を進めます。
新学習指導要領では「アクティブ・ラーニング」という用語に替わって「主体的・対話的で深い学び」が前面に打ち出されました。そして、「国語を要」としつつ「言語活動」を充実すべきことも示されています。
「主体的」な学び、「対話的」な学び、そして「深い学び」、いずれも、それ自体は授業にとって大切な要素です。しかし、学習指導要領を見ても、その解説を見ても、「主体的」な学びとはどういうものか、本当に必要な「対話」とはどういうものなのかは、具体的には見えてきません。「深い学び」も、何をもって「深い」と言えるのか、また言えないのかも、わかりにくいと思います。
読み研では、この三十年間、授業における「子どもの主体性」、そして「子ども相互の学び合い」「対話」「学習集団」を大切にして実践・研究を続けてきました。「浅い学び」ではなく、「深い学び」を生み出すための教材研究のあり方も追究してきました。
「主体的・対話的で深い学び」について、今、一番説得力のある提案ができるのは、読み研であるという自負を持っています。
本大会では、国語の授業で「主体的・対話的で深い学び」を実現するための切り口を、具体的に解明します。「言語活動」と「主体的・対話的で深い学び」とのつながりについても検討していきます。
一日目は、物語・小説の授業で「主体的・対話的で深い学び」を実現するための方法を、構造、技法、吟味などの観点から解明します。取り上げる教材は「スイミー」「モチモチの木」「一つの花」「わらぐつの中の神様」「海の命」「少年の日の思い出」「枕草子」などです。
記念講演は、読み研代表の阿部昇が、国語の授業で「主体的・対話的で深い学び」を実現するための方略を示します。その後に阿部と、事務局長の加藤郁夫、事務局次長の高橋喜代治との鼎談があります。
そして、一日目の最後に、「対話的」な国語の授業を展開するためのさまざまな指導のポイントを明らかにしていく講座があります。
二日目は、説明文・論説文の授業で「主体的・対話的で深い学び」を、どのように実現するかを、構造、論理、吟味などの観点から解き明かします。取り上げる教材は「こまを楽しむ」「ウナギのなぞを追って」「生き物は円柱形」「『鳥獣戯画』を読む」「スズメは本当に減っているか」「幻の魚は生きていた」「作られた『物語』を超えて」などです。
そして、最後に、全体模擬授業があります。「主体的・対話的で深い学び」を実現する「大造じいさんとガン」(椋鳩十)の授業です。
知的な刺激に充ちた二日間になります。遠慮のない開かれた話し合い・意見交換、討論、そして質問をお願いいたします。ご参加の先生方にたくさんのお土産を持ち帰っていただける大会にしていきたいと思っています。
みなさんのご参加をお待ちしています。