第14回高等学校部会報告(2006.2.18-19 さいたま)

丸山義昭(第14回高校部会担当)

 2月18日(土)~19日(日)、さいたま市において、読み研第14回高校部会を開催しました。
 参加者数は、講師の田中実先生、齋藤知也先生を含めて1日目が24名、2日目が16名でした。少人数でしたが、その分、落ち着いた、なごやかな雰囲気で2日間研究討論ができました。札幌や秋田といった遠方からもご参加いただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

★講座「文学作品における読み研方式の基本と発展──「羅生門」などの定番教材をめぐって──」を丸山義昭(新潟県立長岡高校)が担当しました。「プロット主義」「主人公主義」を克服するための発展課題について、いくつか述べました。構造よみ・形象よみにおいて、「対立する二つの勢力・性格」の組み合わせを複数読みとること、導入部の形象よみの事件設定において、また展開部以降においても、話者の評価的態度を読むことが大事であること、肯定的に読む、否定的に読むという読み方の重要性などについてお話ししました。
○参加者の声
「今何が問題になっているか短い時間でよくわかりました。」
「『羅生門』についての読みが自分のなかで、また新たなものになるものでした。」 

★次は、都留文科大学教授の田中実先生より「『機能としての語り』の問題──『舞姫』を例に──」という題で講演いただきました。80年代以前の「実体概念」から80年代以後の「関係概念」へという第1のパラダイム転換、さらに田中先生のお考えである「実体性概念」へという第2のパラダイム転換、この二つのパラダイム転換についてお話しされ、その上で「舞姫」の方に移りました。斎藤美奈子の『妊娠小説』の「妊娠させた男の苦悩と、妊娠して捨てられた女の悲劇」という捉え方を、作中人物の実体でしか捉えていないと批判されました。「機能としての語り」を読むと「舞姫」の読みはどうなるのか、大変興味深く刺激的なお話を聴くことができたと思います。
○参加者の声
「語り手の存在によって明確になってくるものの存在を実感しました。」 
「『舞姫』についての認識が変わりました。斎藤美奈子さんの見解の腑におちないところがどこなのかわかるような気がします。」
「意味が読者の側にあるとかいう話はやっぱり難しかったのですが、とても面白かったです。」

★夕食後、7時から9時まで実践報告として、自由の森学園の齋藤知也先生から「高校生1年生と『蜘蛛の糸』を読む」というテーマで報告していただきました。田中先生が講演で示された理論の実践編として、「語り手の自己表出」を読むとは、具体的にはどういうことなのか、「蜘蛛の糸」の教材研究と実践記録に即して報告していただき、よく理解できることができました。
○参加者の声
「自由に話させているように見えて、実はしっかりした教材研究にうらうちされた適切な助言により、ここまで解釈をひきださせているのだと感心しました。」
「生徒の言葉を待ち、引き出す助言は、教師自身の『読み』の深さが絶対的に必要だということ、齋藤先生の誠実な内省力に感銘を受けました。」

★翌19日(日)は、9時から新潟県立新潟県央工業高校の高山千恵子さんから「七番目の男」(村上春樹)の教材研究の報告、引き続いて「七番目の男」の模擬授業をおこないました。「七番目の男」の終結部の主題よみで、主人物が「人々」に語るという設定になっているわけを追究した意欲的な授業でした。
○参加者の声
「たしか七年前新潟で授業を見せていただいてすごい!と思い、今回も先生の授業を見せていただきたくて来ました。今回もやっぱりすごい迫力でした。生徒はひきこまれてしまうだろうなあと思います。もっと時間があればよかったなあ。」
「自分も授業をしたことがあるのですが、そのときは、扱いきれなかったのですが、今回の模擬授業で方向性が見えたような気がします。」

★今回の会全般について。懇親会は大変アットホームな雰囲気で、時間のたつのも忘れ、会の内容は前述の通り、濃い内容で、問題提起性に富んでいたと思います。
○参加者の声
「とにかくすべてが面白かったです。ありがとうございました。今後とも期待しております。」
「パワフルな読み方にある種の感銘をうけ刺激的ではありました。ありがとうざございました。」
「全体に大変刺激的な会でした。自分は全然ダメだなあ~とつくづく思った2日間でした。自分の考え、感覚を大切にしながら、これからも、勉強してしていきたいと思っています。」