図書案内「かならず成功する読み聞かせの本」赤木かん子著

案内する図書

「かならず成功する読み聞かせの本」 赤木かん子著 自由国民社

 絵本を中心にした、読み聞かせの指導について書かれた本です。お薦めの絵本も160冊ほど紹介されています。

永橋和行

私はずいぶん読み聞かせをしてきたつもりですが、紹介されている160冊の本のうち3冊しか読んだことがなかったので、かなりショックを受けました。まだまだ修行が足りません。

〇読み聞かせの目的は何ですか?


 読み聞かせをする人に、「読み聞かせをする目的は何ですか?」と聞くと、「本を好きになってもらいたいと思って」「心のやさしい子どもになってもらいたいと思って」等の答えが返ってきたと書かれています。しかし赤木さんは違います。「子どもに幸福な気持ちになってもらいたいから」と明快です。おもしろい絵本を読んでもらって、笑ったり、興奮したり、わくわくしたりして幸福な気持ちになってもらいたいのです。そして幸福かどうかを決めるのは、もちろん子ども自身であるとも書かれています。


〇本は “ちゃんと” 読まなくてもいい

 「本は、はじめから終わりまできちんと読まなくてもいい」とも書かれています。「表紙にさくらんぼの絵があって、子どもがそれを気に入っているなら、ページをめくったら怒ります。だって大好きなさくらんぼの絵が消えちゃうわけですから」と続きます。さらに、「後ろから読もうが、前から読もうがかまわない。“ちゃんと”読まくてもいい」とも言い切っています。大切なことは、「何を読んでいるか」ではなく、「どれだけ楽しんでいるか」だと断言しています。

〇読み聞かせ Q&A

 最後に、「読み聞かせ Q&A」があります。例えば、Q「読み聞かせの最中に、子どもに質問したり、同意を求めたり、確認したりするのはいいのですか。」。A「必要ならばやります。必要というのは、その方が面白くなるかどうかということです。面白くならないのであれば、やってはいけません。」と、これも明快です。

*「絵本 子どもの本 総解説」「自然と科学の絵本」も同じ出版社(赤木かん子著)から刊行されています。