第17回高等学校部会報告(2009.2.21-22 神戸)

神戸での初の開催、23名の参加者で実りある研究会に

谷山由夫(兵庫・滝川中高)

 2009年2月21日(土)・22日(日)の両日、神戸市の兵庫 県民会館において、第17回高校部会が開かれました。国公立二次試験の直前でもあり、地元兵庫県は7名でちょっと寂しかったのですが、東京、静岡、岐阜、富山からも参加していただ きました。また、読み研運営委員が編集した『セオラム現代文』の出版元である京都書房の皆様、東京書籍やいいずな書店も駆けつけて下さり、討議に加わっていただきました。
 今回の高校部会は加藤事務局長の挨拶に続いて運営委員湯原先生による文学的文章の読み方入門講座で幕を開けました。地元兵庫県から私谷山と運営委員でもある高槻中・高等学校の竹田先生が教材分析と模擬授業をし、最後に運営委員の岩崎先生の説明的文章の読み方指導入門で締めくくっていただきました。
 私は安部公房の『棒』を取り上げました。昨年長野で行われた高校部会で湯原先生が取り上げられた芥川龍之介『蜜柑』は「発端」や「クライマックス」が非常にわかりやすく構造読み入門にふさわしいとのことでした。それを生徒だけではなく、教師までもが難解と感じる『棒』でやってみたらどうなるだろうかと考えました。模擬授業では「発端」と「クライマックス」を見つける作業を二つの山として臨みましたが、出た意見に対して絞り込んでいく助言が足りなかったというご指摘を受けました。全くその通りだったと思います。にも関わらずアンケートであたたかいお言葉を頂いた先生方有り難うございました。
 竹田先生は『竹取物語』の「かぐや姫の昇天」を「口語訳して終わり」でない授業をめざして、「語」にこだわりそこに表われたかぐや姫の心情に迫る読みを展開されました。少し文法 の深みにはまってしまった感はありましたが、アンケートにも「古典を現代文と同じく心情や作者の意図を読み込んでいくやり方には共感しています。」とあったように新しい読みの提案 ができたと思います。 
 締めくくりは立命館宇治高校の岩崎先生による説明的文章の入門講座でした。入門講座とはいえ、まさにPISA型読解力につながる吟味読みまで解説していただきました。
 参加者が少なかったのが残念でしたが、実りのある高校部会であったと思います。

プロフィール

「読み」の授業研究会
「読み」の授業研究会(読み研)
「読み」の授業研究会は、子どもたちに深く豊かな国語の力を身につけさせるための方法を体系的に解明している国語科の研究会です。
2021年に設立35年を迎えました。