授業のルールをどうつくっていくのか(小学校の実践)

1 授業びらきで、1つだけルールを提示する

授業びらきで「先生の話は、集中して聞くこと」ということだけを子どもに話します。聞いていないと分からなくなるし、何度も話すと時間がもったいないとも話します。子どもとの合意をとることが大切です。そして、先生の話をきちんと聞いているのか評価していきます。授業が進むにつれて、先生だけではなく、子どもどうしの時も同様に集中して話を聞くことを指導していきます。また、みんなが話を聞いていないときには「聞いてください」と要求したり、発表者の声が聞こえなければ、「もう少し大きな声で言ってください」とお願いしたりする指導等もしていきます。

2 子どもと一緒に「授業ルール」をつくっていく

あとの授業のルールは、子どもと一緒に少しずつつくっていきます。

〈実践例〉

①始めのあいさつと終わりのあいさつを決める

昨年の授業はどうしていたのかを子どもに聞いて、気持ちが切り変わってやる気の出るあいさつはどういうのがいいのかを考えて決めます。

②発言のルールを決める

子どもは「手を挙げて当てられたら、机の後ろに立って発言していた。」と昨年の発言の仕方を説明しましたが、他の子どもは「去年のクラスは、座ったまま発言していた。」とも言いました。「どっちがいい?」と聞くと「机の後ろに立つと緊張するし、椅子の音がガタガタうるさかった。」との発言があり、結局は「挙手して当てられたら、座ったまま発言する。ただし発言者はみんなの方を向いて発言し、みんなも発言者の方を向く。」と決まりました。

③小グループの話し合いの導入

「発言する人が同じ人ばかりだけど、去年はどうしていたの?」と聞いても誰も答えません。「どうする。このままでいい?」とさらに聞くと、「なるべくたくさんの人が発言した方がいい。」と言います。「でも間違っていたら恥ずかしい。」「人の意見を聞くだけでもいい。」との声もありました。そこで「まず班ごとに話し合って、そこで発言するというのはどう?」「3~4人だったら発言しやすいんじゃない。」と私から提案してみました。それでやってみようということになり、いきなり学級全体の場で発表するのではなく、まず班ごとに話し合うことに決まりました。

3 学習集団づくりの指導につなげる

上記のように、授業のルール等で何か問題が出てきたら、その都度子どもたちと話し合いました。そして自分たちで授業を作っていくという「自治的な学習集団づくり」の指導につなげていきます。しかし問題が出てくるたびに子どもと話し合っていては時間がなくなります。そこで学習リーダー会を開き、授業のルールについて話し合い、みんなで確認していくという形に切り替えていきます。やがて学習リーダー会では、授業のルールだけではなく、クラスのみんなが分かる授業の進め方等、授業の質をどう高めていくのかということについて教師と共に考えていくという指導にシフトしていきます。