「土」の教材研究と指導言計画

  土   三好達治

1 蟻が          短(3)
2 蝶の羽をひいて行く   長(3・3・3・2)
3 ああ          短(2)
4 ヨットのようだ     長(4・3)

【教材研究】

◎構造よみにおける〈転〉について
 三行目「ああ」からを転とする
 (理由)
 ①「ああ」という感動詞が出てくる→感動・驚きを表す
 ②一・二行目は出来事を述べていたが、ここで話者の気持ちが示される
      →出来事から心情への変化
形③一・二行目は画数の多い漢字(蟻・蝶)が用いられていたが、ここではひらがな表記になる
      →難しい漢字からからひらがなへの変化  (ああ・嗚呼)
      →固い感じからやわらかな感じへの変化
      →窮屈な感じからのびやかな感じへの変化
形④虫へんの漢字からひらがなへの変化
      →虫の世界から違う(海の)世界へ
形⑤長い行から短い行への変化(二行目から三行目にかけて)
 ⑥一・二行目は現実の世界のことであり、三・四行目は想像(連想)の世界のこと
      →現実から想像(連想)の世界への変化
  *比喩 様子の説明であるとともに、比喩を用いることで別の世界へと変換する
 ⑦小さな世界から雄大・広大な世界への変化
  *「蟻」地面をはう小さな昆虫
 ⑧地面の上の虫の世界から海の上の世界へ
      →土の世界から海の世界へ(土の上に海を見ている)
 ⑨視点の変化(上からの視点から下からの視点へ)
  *前半は上から見下ろすような感じであるのに対し、後半は後半は横もしくは下から見上げるような感じ
形⑩文の切れ目
      →全体が二文から出来ている

【授業の指導言計画】

1 (詩を黒板に書く・生徒には詩を印刷したプリントを配布)
    教師の範読(それを聞いてプリントに読み仮名をふらせる)
2 全員で、先生がさすところを読んでください
3 一人で3回声に出して読んでください
4 もう一度、全体で読みます。大きな声で、そろえて、読んでください。
5 意味のわからない言葉はありますか?
6 この詩を読んで、どんなことを思いました?
7 今日の勉強は、詩の読み方。この詩の中で一番大きく変っているのはどこだろう?
  三行目「ああ」・四行目「ヨットのようだ」が出ることが予想される
8 (二行目と三行目の間に線を引いて)みんなの意見をまとめるとここが大きな分かれ目になるね。では、その理由を考えよう。実は先生は四つ理由を考えてきました。君らはどうかな?
  *助言 見た目(形)と、内容と二つの面から考える。
  *助言 見た目で気が付くことない?
  *助言 一行目二行目に共通していることは?
  *助言 一・二行目はどこでのこと?
  *助言 「。」をつけるとしたら、どこ?
  *助言 「ああ」ってなに?
9 一番大きく変っているところを考えることで、実はこの詩のテーマ(一番詩が伝えたいこと)も少し見えてきたね。比喩を使うことで、見ていることから想像していることへ、小さなものから大きな世界へ、地面の上から海の上の世界へ……描かれている世界が大きく変っているんだね、そういう世界の転換の面白さがこの詩のテーマじゃないかって見えてきたね。
 最後に、「一番大きく変っているところ」を見つけることで、詩が面白く深く読めてきたね。この方法はほかの詩でも使える方法です。では、今日の勉強はこれで終わりです。