第18回高等学校部会報告(2010.2.19-20 名古屋)
42名の参加者で熱く古典を研究した二日間
湯原定男(多治見西高等学校)
2月19日(土)20日(日)名古屋文化短期大学を会場に第18回高校部会が開催されました。栃木・和歌山・兵庫など遠方からも含めて42名の参加者で、質問や意見で時間が足らなくなるほど熱く濃密な2日間でした。研究会での内容と参加者の感想をあわせて紹介します。
今回は、古典教材を中心にした研究会でした。
まずは岐阜県立東濃高校三田村広隆先生が平家物語「忠度の都落ち」を模擬授業。クライマックスの決定を中心にし、主題に迫ることをねらいにした授業。クライマックスを考えることで古典教材も読み深めることができることを実感した授業でした。
・クライマックスに焦点を絞った問いが作品の内容理解へのきっかけになることがわかり、よかったと思う。
・自分の今までの読みとは違う読みが可能であることに気づかされました。
次は名古屋大学名誉教授山下宏明先生による記念講演「平家物語の魅力」。一つ一つの段をつながりを持って読むことで物語の新しい姿が見えてくるという趣旨のもと、木曽義仲を源頼朝と比較しながら読み込みながら、田舎者だが、愚直で純朴な義仲の姿がうかびあがる講演でした。 また、長い研究生活をふりかえりながら、「わからないこと研究しなければならないこと、読めていないことがいくらもでてきて、人生は短いですね」、と情熱的にかつ楽しそうに語られる先生。学ぶ者、教える者の本来の姿を身を持って教えていただいたと感じた時間でした。
・文化史をふまえながら平家を〈物語〉として読むというきょうじを感じました。先生の元で勉強している学生は幸せですね。講義を聴きたいです。
二日目は加藤郁夫読み研事務局長による奥の細道「平泉」。対比やふつうの表現との比較など、現代文で用いる手法を用いながら、芭蕉の工夫やしかけを読みとっていく授業。参加者からも「今までも読んでいたはずの文章に新しい発見があった」と好評でとても刺激的な授業でした。
・平泉の教材観ががらりと変わりました。
・口語訳で上がりという授業に限界を感じていた。切り口が新鮮でおもしろかった。もっと教材研究をしっかりしたいと感じました。
・仕掛けが見えてくるおもしろさを味わうことができました。
古典以外にも読み研運営委員岩崎成寿先生による読み研入門講座(文学的文章)、同じく運営委員竹田博雄先生による読み研入門講座(説明的文章)も好評でした。
・多くの先生方の積極的なとりくみに教えられることが多く、目の覚める思いでした。
・心に水がしみいるような模擬授業、大変おもしろく聞かせていただきました。
・今後も古典を取り上げていただけると、うれしく思います。
・教員が知らないこと、気づいていないことは、教えられないということがよくわかった。
年度末に近く、また国公立大二次試験目前で指導など忙しい時期ではありましたが、ほんとうに多くの先生方に参加していただきほんとうにありがとうございました。 また、年代も幅広く、こうした高校教材を共同研究できる研究会が求められていることを、あらためて実感した2日間でした。
プロフィール
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