俳句の教材研究 「いくたびも雪の深さを尋ねけり」

俳句を扱った時の教材研究を紹介します。

いくたびも雪の深さを尋ねけり  正岡子規

〈季語〉雪(冬)  〈切れ字〉けり

〈どこで一番大きく変化しているか〉
いくたびも雪の深さを/尋ねけり
①「雪の深さ」はふつうなら測るといった言葉につながる。それが「尋ねる」である。
②なぜ「雪の深さ」を尋ねるのか、そこにこの句の疑問が生まれる
③雪の深さを尋ねるような状況とはどのような状況なのか

〈形象よみ〉
*なぜ尋ねるのか(話者がどういう状況にあるのかを読む)
   → 自分で直接見ることができない状況にある
①雪が降っているところが遠方(スキーなどに出かける前の日といった状況が考えられる。しかし、それにしては「いくたびも」がわかりにくい。そんなに何度も尋ねる必要があるのか。)
②近く(寝たきり・重病)
病床にあって、自分で雪を見ることができない
 雪が降るのがうれしく、またそれが積もるのがうれしくて仕方がない。(雪をあまり見慣れている土地でも人でもない) → そこに子供っぽい無邪気さが読み取れる。また何度も尋ねることから、看病してくれる人への甘えも読み取れる(尋ねる相手は身内ではないか)

*なぜ「深さ」というのか
 前記のように読んでくれば、雪の降り始めからしきりに尋ねていることになる。積もっているといっても、50センチ、1メートルといったものではないだろう。せいぜい数センチ~10センチくらい。深さという言葉はやや大げさではないか。ただそれを「深さ」というところに、「私」の雪への思いが読み取れるのではないか。雪が降ることがうれしくて仕方がない、またそれが積もることがうれしくて仕方がないという子どもっぽさが読み取れる。

〈主題〉 雪が降り積もることへの子供っぽい喜び