説明文指導の工夫  ~「算数みたいです!」~

 現在、小学3年生を担任している。隣の学級は新採用の女性の先生である。授業の進め方のアドバイスをしながら共に進めている。
 先日、説明文教材「めだか」を終えた。共に進めている彼女から次のような報告を受けた。
「『めだか』の『なか②』の論理よみをやってみました。なんだかうまくいかず、学級はどんよりした雰囲気でした」。
 彼女には説明文指導の方法をそれなりに伝えていて、彼女自身も「なるほど、と思います。やってみます!」と元気に答えていた。が、結果は上記のようであった。何がいけなかったのか。
 まずは教材文を示す。「めだか」の 「なか②」は次の通りである。

9 ①めだかは、こうして、てきから身を守っているだけではありません。②めだかの体は自然のきびしさにもたえられるようになっているのです。
10 ①夏の間、何日も雨がふらないと、小川や川の水がどんどん少なくなり、「ふな」や「こい」などは次々に死んでしまいます。②でも、めだかは、体が小さいので、わずかにのこされた水たまりでもだいじょうぶです。③小さな水たまりでは、水温がどんどん上がりますが、めだかは、四十度近くまでは、水温が上がってもたえられます。
11 ①一方、雨がたくさんふって、きけんがせまることもあります。②大雨になると、小川や池の水があれ、めだかは大きな川におし流されてしまいます。大きな川から海に流されてしまうこともあります。③ ふつう真水でくらす魚は、海水で生きることができませんし、海にすむ魚は、真水の中では死んでしまいます。 ④しかし、めだかの体は、真水に海水がまざる川口の近くでもたえられるようにできています。 ⑤海に流さためだかはやがて、みちしおに乗って、川にもどることもあります。

 彼女は、柱の文を見つける、柱の文とそれ以外の文の関係を明らかにする、柱の文を要約する、など私が教えたことを実践してみた。しかし「どんより」してしまったのはなぜか。そこには、3年生の子どもたちを相手に授業する際の一工夫が足りなかったように思う。

 そこで次のように進めてみてはどうかと伝えた。

・今日は問題を5つ出します。1問できたら20点、全部できたら100点です。さあだれが100点になるかな。 (競争が大好きな子どもたち。このような意欲喚起は効果的である。以下、5問を示す)

①9段落は2文あります。どちらが柱の文ですか? (簡単な問いである。初問で「できた」との達成感を与えることが大事である)
②2文で大事なところは?14文字です。線をひいてごらんなさい。(文字数の限定により容易さが増す。「見つけるぞ!」との気持ちが高まる)
③10段落は3文あります。どれが柱の文ですか?(9段落より1文増える。②文か③文かで迷うだろう。難度が上がり、これが励みになる)
④柱の文は③文です。では③文の前半と後半はどちらが大事ですか?理由も書きましょう。(後半が大事。理由の中に40度という言葉があればおおむねよしとする)
⑤11段落にはなんと5文あります。これが5問目、最後の問題ですよ。さぁ、この5つの文のうち、柱の文は何文でしょうか。 (選択肢が増えるので、子どもたち難しいと感じるだろう。しかし、難度は高くない。正答率は高くなり、子どもは大喜びするはずだ)

 以上、5問を示した。いずれも解答が明確で、先生自身が正解か否かを迷うことはない。このような問いを基にしながら、学級の実態に合わせて「なぜそうなのですか。理由を言いましょう。」とか「では、この文を要約してごらんなさい」などと質を高めていけばよい。
「これならできます。算数みたいにわかりやすいです!」とは彼女の弁。「算数みたいに」という言葉が印象的だった。